日本の1月から2月といえば、冷え性の人にとっては特に厳しい季節だ。「体を暖めるなら足元から」とよく言われるが、寒さ対策は万全だろうか。
人は昔から、寒い冬を快適に過ごすための試行錯誤を繰り返してきた。しかし、せっかく今の時代を生きているのなら、「テクノロジー」の力を頼ってもいいかもしれない。
スイスのスタートアップ企業「plus T」が開発しているのは、アプリで温度調節ができるスマートインソール「+Winter」。手持ちの靴に入れて使うことができ、普通のインソールとほとんど変わらない重さと薄さだ。
使い方は至ってシンプル。Bluetoothでスマートフォンアプリとインソールを接続させた後、アプリで好みの温度を設定し、インソールを手持ちの靴に入れる。これだけだ。
スニーカーや革靴など日常的に着用する靴だけでなく、スキーブーツなどウインタースポーツ用の靴でも使用できる。アプリとインソールをペアリングすると約30秒で実際に暖かさを感じられるようになる。
つま先とインソール中央部に搭載された温度センサーが、インソールの温度とバッテリーの消費を最適化し、常にユーザーが希望する温度に保ってくれる。
アプリと常時接続しなくても使用は可能だが、バッテリー残量の確認や、モード切り替え時には接続する必要がある。
なお、充電中など動作する必要がない場合にはインソールは作動せず、省電力に配慮している。
湿気や水しぶきがかかる程度なら使用上問題はなく、濡れてしまった場合は布でふき取り、乾いた場所で保管すればよい。
普段の手入れにおいても水に浸したり絞ったりこそできないものの、濡れタオルでふき取りその後乾燥させるなど、一般的なインソールとほぼ同様に扱うことができる。
また、開発段階から200人以上のアスリートが実験に参加し、激しい運動中でも内部の湿度が上がりすぎないよう設計されているので、蒸れが気になることもなさそうだ。
インソールはワイヤレスで充電できる。付属のワイヤレス充電器にインソール中央部のマークが乗るように置き、充電が終わるとアラームで通知してくれる。
充電の持続時間は外の気温や靴と靴下の種類、気温によって変わる。例えば、‐5℃の中でスキーブーツにウールの靴下を着用し、インソールの温度を28℃に設定した場合、連続使用で5時間持続するという。
バッテリーはかかと部分に隠れているが、かかと部分の厚みは5.6mm、つま先部分は2.2mm、重さはわずか56gと普通のインソールと大きくは変わらないため、履いていて違和感を覚えることはない。
なお、インソールの使用中にスマートフォンとの接続が切れてしまった場合は、最後に設定した条件で動作が続く。なので、ウインタースポーツでスマホをロッカーに置いたまま移動して使うことも可能だ。
インソールのサイズは24cmから5mm刻みで28cmまで展開。専用アプリはiOSとAndroidに対応している。
2017年7月に量産を開始し、商品の発送は12月を予定する。クラウドファンディングサイト「Kickstarter」では、目標7万スイスフラン(約790万円)のところ、約7万4000スイスフランを集め目標を達成している。
欧州と米国、カナダからは事前注文を受け付けており、インソール2つと充電器1つがついた「スターターキット」が139ユーロ(約1万7000円)となっている。
同社のFacebookページやInstagramアカウントには、「+Winter」に対する好意的なコメントが多数寄せられており、「早く欲しい」「これがあれば冬を快適に過ごせそう」など、前評判は上々。確かに、厳しい冬が長く続くスイスらしいアイデアだ。
「足元の寒さ」は万国共通。日本でも「+Winter」のような製品を求める声は多いだろうから、入手可能になることを期待したい。
執筆:橋本沙織
編集:岡徳之
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR