アイリスオーヤマが大型白物家電事業に参入する。同社は4月13日、その第1弾として、スマートフォンで遠隔操作できるルームエアコンを4月28日に発売すると発表した。Wi-Fi機能の有無と適応畳数(6畳/10畳用)の違いで全4種を展開。価格は6万9800〜9万9800円(税別)。今後は冷蔵庫や洗濯機なども発売する。
大型白物家電事業への参入は“後発組”といえる同社は、単身・少人数世帯をターゲットに、必要な機能を絞り込んだ手頃な価格帯の商品を訴求。多機能・高価格化が進む大手メーカーへのカウンターとして、独自の強みを打ち出していく。
今回発表したルームエアコンは無線LANを内蔵しており、自宅にWi-Fi環境があれば専用のスマホアプリ「NetHome Plus」(iOS/Android、無料)を利用して遠隔操作が可能。電源のオン/オフはもちろん、室温確認、風量・風向や設定温度、運転モードの変更などもできる。
睡眠時間の温度を1時間ごとに設定したり、起床や外出、帰宅、就寝といった生活リズムに合わせてタイマー設定したりできる機能も備える。
節電に考慮し、人感センサーも搭載。人がいないときは自動で省エネ運転に切り替える。センサーは体温に反応するため、ペットにも有効だ。
国内大手家電メーカーが業績不振に苦しむ中、同社の家電事業は順調だ。2010年に100億円だった売り上げは2016年には485億円に成長。2017年度に計画している730億円も達成可能ベースだという。
業績好調な理由について、家電事業部の石垣達也統括事業部長は、家電事業の開発拠点である「大阪R&Dセンター」の存在を挙げる。シャープやパナソニックなど大手メーカーの技術者を積極採用し、技術力の底上げを図っている。
石垣氏は「今後もさまざまな分野の技術者を採用し、技術力を蓄積していきたい。家電事業拡大のポイントは大阪拠点の強化にかかっています」と強調する。
大阪R&Dセンターの原英克統括マネージャーも「大阪拠点の技術者は現在70人ほどで、まずは100人体制を目指していきます。元の会社でまだやりたいことがあった方が、それを実現できる環境があると思っています」と語った。
シャープが台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下に入り、東芝が白物家電事業を中国メーカーに売却するなど、国内メーカーは苦しい状況が続いていた。日本の技術力を武器に、“後発組”のアイリスオーヤマが新たな挑戦をしていく。
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