4月13日、ウェアラブルデバイスで販売総数6000万台以上を誇るFitbitの日本法人、フィットビット・ジャパンが、新製品「Fitbit Alta HR」の発表会を開催した。そのイベントで、睡眠コンサルタント/産業用心理カウンセラーのSEA Trinity 代表取締役、友野なお氏が「科学で証明される眠りの効果」と題して講演を行った。
日本は睡眠時間が少ない国と指摘されて久しい。厚生労働省の調査によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は年々増え続けており、2015年には実に40%近い割合(20歳以上)にまで達している。経済協力開発機構(OECD)の調査でも、韓国に次いで睡眠時間が少ない。
友野氏は「日本人は本当に寝ていないんです。過去10年間を見ても、1日の平均睡眠時間は6時間未満のゾーンが増えています。原因は高齢化社会、ストレス社会、スマートフォンの普及などによる生活の夜型化などが考えられますが、もう1つ見逃せない要因があります。それは、睡眠について学ぶ機会がほとんどないということです。
海外では、睡眠教育が行われていることも珍しくないですが、こと日本では保健体育でわずかに触れるのみで、系統的な睡眠教育がなされず、睡眠への意識が低いのです」と指摘した。
「睡眠不足による経済損失は年間3.5兆円にものぼり、関連する医療費を含めれば実に5兆円にも及ぶという試算があります。寝不足による遅刻や欠勤、睡眠障害による交通事故、作業効率の低下などによって生じる経済損失は思った以上に深刻です。きちんと眠ることはビジネススキルであり、生産性を上げ、無駄なコストを省いてしっかりと成績を残すには、睡眠が欠かせません」(友野氏)
睡眠コンサルタントでもある友野氏は「睡眠不足の状態が続くと、物事に集中できなくなったり、免疫力の低下を招いたりします。逆に主観的に眠ったと思えている人は美肌、ダイエット、アンチエイジング効果が確認でき、免疫力もかなりアップします。また、よく眠るほど、学力向上や生産性の向上、収入が高いという調査結果もあります。睡眠時間は、統計的に見てみると一般的に7時間〜8時間が理想ですが、時間だけでなく質も大切です。睡眠で人生は変わります。ぜひそれを忘れないで下さい」とも話した。
とはいえ、睡眠の質を把握するのはやっかいだ。よく眠れたのか否かは主観的な評価しかできず、なかなか客観的なデータを取りにくい。しかし、そのような時に役立つのが、ヘルスケア製品だ。睡眠状態を自動的にトラッキングし、クラウド経由でスマートフォンやPC上で視覚的に自分の睡眠内容を把握できる。今回発表されたフィットビットの「Fitbit Alta HR」も、個人はもちろんのこと、企業向けウェルネス製品として注目に値する活動量計だ。
本製品は米国で2017年3月6日(現地時間)に発表済みだが、改めて国内での投入が表明された。価格は2万1384円(税込)〜で、4月17日からオンラインでの先行予約を開始、4月24日からECサイトで販売する。店頭での展開は5月中旬〜下旬の予定になっている。
新たに備えた機能では、手首で計測する「PurePulse」心拍計を内蔵したことが注目だ。これにより、睡眠を4段階(覚醒、レム睡眠、浅い睡眠、深い睡眠)に分けて把握できるようになった。具体的には、Fitbitアプリから「睡眠ステージ」として視覚的に確認可能だ。さらに、よりよい睡眠を促す「睡眠ガイド」もスマホの画面上で提供する。
日常生活防水機能も備え、付属の専用USBケーブル(Alta HR専用)経由で充電すれば最大7日間のバッテリー駆動が行えるのも魅力だろう。
新商品を紹介したフィットビット・ジャパン ビジネスデベロップメントマネージャー 千川原智氏は、「日本人が睡眠不足で招く経済的損失は約1380億ドルにもなる。日本では、どうしても長時間労働になりがちなのも影響しているのだろうが、よく眠って集中して働くという文化の創出に向けて貢献できればいいと思っている」と意気込みを語った。
2016年には、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険が一部の保険契約者にフィットビットの活動量計を貸与して、歩数や歩行距離、燃焼カロリー、運動時間、睡眠、心拍数といった活動データと健康診断や人間ドックの結果などを分析し、健康を軸とした新商品や新サービスの検討や開発を進めるなど、ウェルネス方面での取り組みも始まっている。
「法人からの問い合わせも増えつつある。現状は各リージョンごとの対応となっているが、企業向けのウェルネス情報も拡充していきたい」(千川氏)
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