この1月、雑誌の企画で東芝の有機EL大画面テレビ「65X910」を1週間ほど自宅で試用してそのインプレッションを書くという仕事をした。
それまではパイオニア最後の「KURO」、50型フルHDプラズマモニターを8年ほど使っていたのだが、65X910の65型大画面で見るUltra HD Blu-ray(以下、UHD BD)のキレのよいクリーンな4K&HDR高画質にヤラれ、結局自室に導入することにした。
プラズマ同様、サブピクセルの光量を1つ1つ個別に制御できる自発光ディスプレイの画質のすばらしさは格別だ。この1カ月ほど65X910と付き合ってきて、そんな感慨をしみじみと抱く。
漆黒の闇はねっとりと艶めかしく、被写体が移動しても、見た目の解像感は静止時と大きく変わらない。視野角の広さを含めて、やはり高級有機EL大画面テレビには、液晶タイプとは一味も二味も違う魅力があると実感している。
UHD BDやフルHDのSDR番組を本機で見ていると、やや暗部がつまり気味かと感じることがあるが、同社技術陣もその点については気にしているようで、つい先日、暗部の階調表現を改善する無償アップデートを5月下旬に行うとの告知があったので、楽しみに待ちたいと思う。
1月のCESでお披露目されたパナソニック、ソニーの有機EL大画面テレビの日本市場向け製品の発表も近いと思われ、今年の夏のボーナス・シーズンには、有機EL高級大画面テレビが百花繚乱(りょうらん)の様相となるのは間違いないだろう。
そんな状況下、1月の東芝に続いて3月16日に大画面有機ELテレビの新製品を発表したのが、LGエレクトロニクス。発売されるのは、65V型の「W7P」と「E7P」、そして65V型と55V型の2モデル展開となる「C7P」である。
W7P/E7/C7Pの3シリーズともに、LGディスプレイ製のWRGBカラーフィルター方式最新有機ELパネルが採用されている。東芝、そしてこれから発表されるであろうパナソニック、ソニー製有機ELテレビよりも一世代新しいパネルが組み込まれているわけである。ここは大画面有機ELパネルを供給するLGディスプレイをグループ内に持つ、同社の大きなアドバンテージといっていいだろう。
この最新パネルは、2016年モデルよりもピーク輝度で約25%アップと説明資料にある。東芝ほか日本メーカー製品に採用された旧パネルの最大輝度は、(LGディスプレイは正式にアナウンスしていないが)白ピークで800nits (カンデラ/平方メートル)前後、全白時は400nits程度といわれていたので、LGのこの最新3シリーズは白ピークで1000nits前後の明るさが達成されたことになる。
UHD BD等の制作時に使われるRGB方式のソニー製有機EL30V型モニター「BVM-X300」のピーク輝度が1000nits 程度といわれているので、明るさの表現力でほぼそれに肩を並べることになるわけだ。
加えて興味深いのは、この3シリーズすべてに同一の画像処理エンジンが搭載されていること。採用されたパネルも同じなので、W7P/E7P/C7Pで価格は異なるが、それぞれの65型に実質的な画質の違いはないわけだ(65V型の実勢価格はW7Pが約100万円、E7Pが約80万円、C7Pが約70万円、すべて税別)。
では、3シリーズの何が違うのか。それはデザインと音である。
その両面で圧倒的な魅力を訴求しているのが、最上位機の65W7P。なんとこのモデル、自立スタンドがない。壁に掛けるというか、壁に貼るのが前提のテレビなのである。
つい「壁に貼る」と書いてしまったが、65W7Pのディスプレイ部の厚みはなんと3.9mmと大判のカレンダー並み。その薄さは実際に目にすると衝撃的で、まさにメーカーがカタログでうたう未体験の「Picture on Wall」が実現されている。
65W7Pは、このディスプレイ部と各種信号処理回路、チューナー、スピーカー、アンプを内蔵したヘッドユニットの2筐体(きょうたい)構造になっている。ディスプレイ部を壁に貼り、ヘッドユニットをその真下の家具の最上段に置くというのが、本機の使用スタイルとなる。
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