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今もっともコスパの高い4K液晶テレビかもしれない――バズーカ搭載、地デジもきれいな“レグザ”「BZ710X」(1/2 ページ)

» 2017年06月22日 06時00分 公開
[山本浩司ITmedia]
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 東芝、LGエレ、ソニー、パナソニックの4社から相次いで発表された4K大画面有機ELテレビが6月に入って出そろい、家電量販店の店頭が大きなにぎわいを見せている。

 先月の本欄で視聴インプレをお伝えしたパナソニック「EZ950/EZ1000」をはじめ、4社の大画面有機ELテレビはどれも液晶タイプを大きく上回るすばらしい画質を達成しているのは間違いなく、値段が高くてもいいから、今いちばん画質のよいテレビで良質なコンテンツをじっくり見たいという方には、断然有機ELタイプをお勧めしたい。

 画素1つ1つの振る舞いを個別に制御できる自発光デバイスの有機ELは、コントラスト、動画応答性、視野角すべてにおいて液晶を大きくリードする魅力がある。とくに微妙な動きの映像がボケずに解像感が維持される点は、大画面テレビにおける液晶に対する大きなアドバンテージだと思う。

液晶に比べて画面が暗いのでは? と気にされる向きもあるかもしれないが、通常のリビングルームの照度環境であれば、すでに十分過ぎる明るさを大画面有機ELテレビは達成しているといっていい。家電量販店のテレビ売り場が明る過ぎるのである。あの蛍光灯が煌々と灯ったまぶしい環境で自宅のテレビを眺める人など、どこにもいないはず。

 などと言いながら、4K大画面有機ELテレビの価格は高く、まだまだこの値段では手が出ないという方もきっと多いことだろう。50〜60型クラスでコストパフォーマンスを重視すれば、お勧めしたい4K液晶テレビがいくつか存在するのも事実だ。ここでは最近じっくり視聴して感心させられた1台、東芝「55BZ710X」について触れてみたい。

東芝の「55BZ710X」

 発表された55型の本機の市場想定価格は税別30万円前後。同サイズの同社有機ELタイプのそれに比べれば、ほぼ半額ということになる。

 本機に採用された液晶パネルは視野角で有利なIPSタイプ。直下型LEDバックライトが採用され、ローカルディミング(部分減光)のエリア数は前作「BZ700X」の約2倍で、画面最大輝度もBZ700Xの500nitsから800nitsに向上したという。

 音声面で注目すべきは、背面に円筒状のバスレフ型ウーファーを搭載していること。同社はこの低音再生システムを「重低音BAZOOKA」(バズーカ)と呼んでいる。

「重低音BAZOOKA」ウーファー

 ベテランのAVファンにとってバズーカとは、とても懐かしい名前ではないだろうか。ブラウン管テレビ時代の1980年代末〜1990年代初頭、東芝は低音再生に注力したモデルを「BAZOOKA」とネーミング、大きな話題を集めた。と同時に東芝は他社に先駆けて「映画」モードを提案、それまでテレビの画質思想に欠けていた「Hi-Fi思想=制作者の意図に忠実な画質」を提案したのである。ご存じの通り、その後各社がこの提案に追随し、「映画」モードの搭載はこんにちでも高級テレビの必須フィーチャーとなっているわけだ。

画面下の両サイドに搭載されるエンクロージャー

 BZ710Xはアンダースピーカー・タイプで、画面下両サイドに30×960mmのフルレンジ楕円(だえん)型スピーカーと30mmシルクドーム・ツィーターがバスレフ型エンクロージャーに収められ、オンキヨーと共同開発された60mmウーファーがビルトインされた円筒状のバズーカボックスが配置されて、左右のポートから低音が放射される仕組み。それぞれのドライバーはマルチアンプ駆動される(ウーファー20W、フルレンジが15W+15W、ツイーターが8W+8W)。

派手な色合いのバラエティ番組などもすっきりと描写

 映像信号処理回路は、その高性能ぶりで定評のある同社製画質エンジンの最新版「レグザエンジンBeauty PRO」が搭載されている。このエンジン最大の特長は、地上デジタル放送のノイズを抑制し、見通しのよい画質を実現しようという「地デジビューティPRO」回路 の搭載だ。

 これは1440×1080ピクセル解像度の地デジの映像を4Kアップコンバートする際に、5パターンの超解像処理を加えるというたいへん凝った回路で、S/N向上と精細度のアップ、階調表現の改善を目指したものだ。この回路はHDMI接続された外部入力にも効くという。

「地デジビューティPRO」の概要

 東芝製4Kテレビの地デジ画質の良さは以前から定評がある。フルHDとは言えない1440×1080ピクセル解像度の放送を見劣りしない画質で4K大画面に映し出す技術は、他社の一歩先を行っている印象を持っていたが、地デジビューティPRO回路を新たに搭載することで、その技にいっそうの磨きがかかったと言っていいだろう。

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