最も注目を集めていたのはトヨタ自動車の「e-Palette Concept」かもしれない。プレスカンファレンスの壇上には豊田章男社長が自ら上がり、移動や物流、物販などのサービスに応用できる自動運転車のプロトタイプを発表した。
低床、箱型デザインとした大きなボックスタイプの電気自動車は、荷室ユニット数に応じて全長が4mから7mまで異なる計3サイズをそろえた。広々とした車内を自由に模様替えすれば、ライドシェアリング(相乗り)や簡易な移動型ショップ、ワーキングオフィスなどさまざまな用途に展開できるのが特徴だ。自動運転の車両制御に必要なアプリケーションを開発するためのインタフェース仕様(API)も、トヨタからパートナー各社に提供される。
CESで開催したプレスカンファレンスには、e-Palette Conceptの初期パートナーとしてAmazonやUber(ウーバー)、ピザハットなども駆け付けた。今後それぞれに得意なビジネス領域で、“自動運転に対応する電気自動車”の活用事例を具現化する方針で、技術パートナーとしてマツダの名前も並んでいた。
豊田社長は「今後は、2020年代前半にアメリカをはじめさまざまな地域でのサービスの実証実験を開始したい」と述べるとともに、20年にはe-Paletteの一部機能を搭載する車両を東京五輪・パラリンピックでデビューさせることも明らかにした。
同様に自動運転の技術をベースにして新しいビジネスの形を提案する試みでは、ハーマンがスイスのリンスピードと組んで展開する「SNAP」や、ヤマハが低速自動車のゴルフカートを活用した「パブリック・パーソナル・モビリティ」(PPM)の展示も熱い視線を浴びていた。
自動運転技術やコネクテッドカーを機に続々と登場する最先端技術。次世代のクルマが、われわれの生活を一変させる時期は意外と近いのかもしれない。CESの会場には、そんな期待をさせる空気が充満していた。
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