注目記事で今年を振り返る(下半期編)(3/3 ページ)
コピーワンス緩和問題や本格始動した次世代DVDレコーダーなど、2007年も注目すべきトピックは豊富だった。前回に続き、今回は下半期を注目記事で振り返る。
11月――ダビング10を巡る攻防、AV機器からシャアまでブランド花盛り
10月に「ダビング10」という名称がJEITAから発表されたコピーワンス緩和問題。10月中にJEITAが「録音録画補償金、抜本的な見直しを」との意見書を発表したことに対し、権利者団体で組織される「デジタル私的録画問題に関する権利者会議」ならびに日本芸能実演家団体協議会加盟の87団体が11月に公開質問状を送付した。この質問状には回答期限が設けられていたが、JEITAからの公式な回答はなかった。
「ダビング10」に至る経緯やそもそもコピーワンスが導入された際の不透明性、議論が長期化するにつれて拡散してしまった各論点については、本誌コラムでお馴染みの小寺信良氏と文化審議会著作権分科会 私的録音録画小委員会の委員を務める日本芸能実演家団体協議会常任理事の椎名和夫氏の対談記事を参照頂きたい。
「サイバーショット」や「VIERA」、「Wooo」といったAV機器ブランドを関した携帯電話の発表も相次いだ。詳細については+D Mobileの記事に詳しいが(“VIERA”に“Cyber-shot”、フルワイドVGAにワンセグ、HSDPAを標準装備──ドコモが905iシリーズ10機種を発表)(大画面有機EL、Rev.A、Woooケータイ、和風、超薄型など8機種──auの2007年秋冬モデル)(3.2インチフルワイドVGA、5メガ3倍カメラなど8モデル、“シャア専用”も──ソフトバンクモバイル2007年秋冬モデル)、そうしたブランド携帯のなかでも異彩を放つのが「シャア専用」こと「913SH G TYPE-CHAR」。
ボディカラーをはじめ、ジオン公国章やマーキング、壁紙や着信音にいたる各種の専用コンテンツなど各所にこだわりが見られるが、極めつけは「ザク(の頭部)」を模した充電台。ここまで“ブランド”にこだわりをみせた製品はそう多くないはずだ。ちなみにザクヘッド型充電台が付属するスペシャルパッケージは5000の用意数が3日で完売する人気ぶりをみせた。
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12月――次世代DVDレコーダーの本格始動、薄型テレビには業界再編の波
冬ボーナス商戦でにぎわう時期。昨年の液晶テレビや一昨年のHDD/DVDレコーダーのような爆発的なヒット商品は見られないが、各種AV家電は低価格化や製品バリエーションの充実から堅調な売れ行きを示しているようだ。特に次世代DVDレコーダーについて、BCNは今秋より各社から新製品が投入された結果、これまでの買い控え傾向から一転、消費者が“買い”の姿勢を見せ始めていると分析している。
そんななか、薄型テレビの主要メーカーがあわただしい動きを見せた。シャープと東芝が液晶および半導体分野での提携を発表したのに続き、松下・キヤノン・日立製作所の3社が液晶ディスプレイ事業での提携を発表。液晶テレビに関して言えば、シャープ/東芝、松下/キヤノン/日立製作所、ソニー/サムスンがビック3を形成し、競争が開始されることとなった。
各グループは液晶テレビの高機能化/低価格化/大画面化といった分野で競争を展開していくことになるが、そうなると気になるのが液晶以外の薄型テレビの行方。プラズマに関してはパイオニア(筆頭株主はシャープ)と松下、日立の3社間で競争が行われることになるが、今回の提携劇の影響を受けそうなのが有機ELとSED。
テレビ向けの大画面有機ELについては早期の製品化を目指していた東芝が2009年度中の出荷を断念しているほか、キヤノンもSEDにまつわる特許訴訟が終了しておらず出口は見えない状態。次世代薄型テレビについては、いちはやく有機ELテレビ「XEL-1」を投入したソニーがリードしそうな状態だ。こうした次世代製品については年頭に北米で行われるInternational CESで発表や展示が行われることも多く、注目したいところだ。
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