どこまでスマートになった? ソニーとパナの4Kテレビをガチ比較:山本敦の「体当たりッ!スマート家電事始め」(4/4 ページ)
今回は“家電の王様”として長くお茶の間に君臨している「テレビ」が、今どれぐらいスマートな家電に進化を遂げているのか、ソニーとパナソニックの上位モデルを使って検証してみたい。
次の焦点は人工知能の搭載
検索操作と音声認識の技術はとても相性が良いことは分かった。ではもし、ユーザーに対して声で話しかけてくるテレビがあればより生活はスマートになるのだろうか。ユーザーがテレビを視聴・録画した履歴をビッグデータとして集めておき、次の番組視聴・録画のレコメンド機能として活用するというサービスは既に実用化されていて、ソニー、パナソニックはともに最新のBDレコーダーにこれを実装している。
また、シャープはさらに一歩踏み込んで、液晶テレビ“AQUOS”(アクオス)と連携する「AQUOSココロビジョンプレーヤー」に人工知能を組み込み、ユーザーの好みを学習しながら音声でおすすめ番組を知らせてくれる機能まで実現した。テレビに話しかけられたりしたら落ち着いて見ていられないのではと思ってしまうが、ユーザーの行動パターンまでしっかりとフォローしながら、テレビ周りのエンターテインメントを楽しむ際に賢くサポートしてくれたら便利に感じられるかもしれない。全ては人工知能による学習能力の出来映えによってくるだろう。
ソニーは今年の5月に米国のスタートアップであるコジタイと、人工知能に関する技術を共同で研究開発することを発表し、兼ねてからソニーが自社で開発してきた人工知能やロボットに関連する取り組みをさらに注力していくことを明らかにした。この取り組みが将来は、かつてソニーが手がけていた「AIBO」や「QRIO」のようなストレートなロボットの開発に生かされるのだろうか。あるいはスマートテレビにも広がっていくような期待を筆者は勝手に抱いている。
これからのテレビはスマートホームの中核を担う家電になる
最後に、インターネット接続機能を持つスマートテレビが、家庭の中にある他の家電機器とつながってどんなことができるようになるのか整理しておこう。BDレコーダーやNASと連携すればテレビ番組の録画や視聴が快適になるのは既に多くの方が知っているし、利用していると思う。これからのスマートテレビはさらに冷蔵庫や洗濯機などインターネットにつながる白物家電やセキュリティ機器とのつながりを深めていくかもしれない。
ソニーのブラビアの場合、本連載でも紹介した同社の「マルチファンクションライト」と連動できるが、まだスマホを使って外出先からテレビの電源をオフできるぐらいのシンプルな内容だ。ソニーグループでは、ソニーモバイルがスマホやタブレットに冠してきた「Xperia」のシリーズ名をモバイルプロジェクターやロボットのような製品にまで広げながら、新しいスマート家電のジャンルを作り出そうとしている。
パナソニックのビエラはセンサーカメラやドアホンとつなげば、ホームセキュリティ機器のモニター代わりになる。パナソニックはエアコンなど白物系のスマート家電も積極的に展開しているので、テレビも組み込んだスマートホームの未来図を具体的に描けるメーカーだ。同じく海外ではヨーロッパのフィリップスやボッシュ、韓国のサムスン、LGなどのメーカーがインターネットにつながるプレミアム家電機器を発売し、スマートホームの展開にも力を入れている。
テレビはつい最近まで映像を楽しむための家電機器だったが、インターネットとの結び付きを強めながら今、マルチなコンテンツプラットフォームとして急速に変化を遂げている。やがて近い将来にはさまざまな家電、モバイル機器とつながってスマートホームの真ん中でコントロールセンターとしての大事な役割も担うことになるだろう。“スマートテレビ”は大きな変革の時を迎えている。
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