悪質な金融業者200件を超える勢い、東京都

» 2007年06月20日 09時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 東京都は6月18日、悪質な貸金業者の行政処分を発表した。出資法違反(高金利)や誇大広告などを行っていた26の業者に対し、6月18日付けで登録取り消しの行政処分を下した。行政処分の件数は2005年度がピークで299件、2006年度は204件だった。「2007年度も昨年度と同じペースで処分を下しており、ほぼ横ばいの件数になるだろう」と東京都産業労働局では予測している。

 高金利の違反事例として、多重債務者にDMの発送や電話勧誘で法定利息に反する融資を実行していた。5万円以下の融資に対し元金と利息の一括返済を求め、できないケースでは利息だけを取り立てていた。利息は10日間で融資金額の3割〜5割を要求していた。

 もう1つの高金利事例は、名簿屋から入手した名簿をもとにDMを送り、違法金利で貸し付けていた。融資額は5万円〜20万円で、元金と利息を含めた一括返済で督促。返済できなければ30日間で、融資金額の2割〜3割という法外な利息を手にしていた。

 不正登録の違反事例では、場外馬券場でAから「良い仕事があるからやってみないか」と声をかけられ、Bは貸金業の登録を申請した。だが雑誌で広告を掲載した際に、登録所在地での営業実態がないことが判明。電話のみの違法営業をしていたことから、登録が取り消された。

 東京都産業労働局では「貸すと言って貸さなかったり、無理矢理に高金利を貸し付けるケースが目立っている。ここ数年は詐欺が増えてきているので、消費者は甘い言葉に注意してほしい」と注意を促している。

 現在、消費者金融業界では与信審査が厳しくなり、貸付残高が減少傾向にある。その背景には、2006年に成立した改正貸金業法にあるという(5月30日の記事参照)。2010年までに法律が施行される予定で、貸付の上限金利を20%に引き下げ、貸付残高の総量を規制(年収の3分の1まで)しなければならない。実質的に貸付先が限定されるため、各社は審査を厳しくすることで、“優良顧客”の囲い込みに躍起になっている。こうした消費者金融業界が抱える問題から、「悪質業者は減っていない。零細企業や多重債務者を“食い物”にした業者が増えている」(業界関係者)という。

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