調査リポート
» 2007年09月04日 18時15分 公開

大学発ベンチャー5年間で2.7倍、最も多いのは東京大学

経済産業省の調査によると、大学発ベンチャーが増加している。売上高や雇用者数の増加など、経済効果も出ているが、「初期投資の調達が厳しい」など資金面が課題だ。

[Business Media 誠]

 大学発のベンチャー数は1590社(2007年3月末)に達し、5年前と比べ2.7倍に増加していることが、経済産業省の調査で分かった。製品化へのめどがたった「研究開発段階」が約49%、販売を開始した「事業段階」が約51%と、調査開始以来初めて「事業段階」が半数を上回った。同省では「大学発ベンチャーは新たな時代を迎えており、今後は成長志向の多様性などに対応するとともに、地域経済における重要性を考慮した環境の整備などが必要」としている。

 経済産業省は、「平成18年度大学発ベンチャーに関する基礎調査」の結果を発表した。同省では2002年度から調査を始め、大学発ベンチャーの設立や経営状況などの調査結果をまとめている。調査は、大学発ベンチャーや大学などにアンケートとヒアリングを実施している。

大学発ベンチャーの設立は東京大学が最も多い

 大学発ベンチャーによる経済効果は、売上高が約2800億円(前年度比600億円増)、雇用者数で約1万8000人(同2000人増)と推計している。業種ではバイオ系が最も多く39.5%、次いでIT(ソフト系)が30.2%を占めている。ハードウェアの11.0%を含めると、IT系が41.2%と最も多い。バイオとITの割合は高いものの、対前年度比では、いずれもシェアを落としている。一方で、機械・装置系がシェアを2.2ポイント伸ばした。

 大学発ベンチャーの設立上位大学は、1位が東京大学で企業数は101社、2位が大阪大学で70社、3位が早稲田大学で66社という結果となった。

 大学発ベンチャーの1社当たりの売上高は、前年度から4500万円増の1億7700万円。「単年度黒字・累積損失なし」は約2割で、業種別ではIT系が約3割、バイオ系が1割となった。

大学発のベンチャー企業数(累積)は5年間で2.7倍

元経営者の人脈で新トップを採用

 大学発ベンチャーの経営者は大学教員が最も多く23.9%、次いで学生・大学院生が22.3%だった。事業段階に応じて経営者の交代を検討している会社は78.5%だったが、実際に企業のトップを交代したのは24.0%にとどまった。新たなトップは、元の経営者の人脈で採用したケースが47.4%と最も多く、経歴を見ると同種のメーカーを中途退職した人が21.8%だった。

 資金面では初期段階での資金調達が厳しく、調達先として自己資金が80.7%、次いで親兄弟親戚が27.8%だった。ベンチャーキャピタルによる投資は、金額ベースでわずか2.3%。ベンチャーキャピタルの投資についてはIT系では増えているものの、バイオ系は縮小傾向にある。同省では「東証マザーズにおいて創薬系バイオベンチャーに対する上場基準の見直しなどが影響した」と分析している。

大学発ベンチャー設立の上位大学

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