中国株は今が“買い”!?――北京オリンピックと株価の関係

» 2007年12月20日 16時46分 公開
[Business Media 誠]

 2008年の8月に北京オリンピックが開催される。環境面や運営面などの批判があるものの、1000万人の来場者と40億人のTV視聴者が見込まれ、来年の最大イベントになるだろう。

 大和総研投資戦略部の吉野貴晶氏は「北京オリンピックと株価」について分析した。その「クオンツ情報」の中で、オリンピック開催地である北京と株価について、このように説明している。

 株式市場では「夏季オリンピックの年は株価が高く、冬季オリンピックは株価が安い」という言葉がある。もちろん理論的な根拠があるわけではなく、あくまで経験則に基づくものだという。

 夏季オリンピックの年の株価が高い理由として、米国の大統領選挙の年と重なるからだ。「米国は選挙に合わせて、景気を良くさせる政策をとると言われている。だから夏季オリンピックの年に向けて景気が上昇、株価も高くなる」(大和総研投資戦略部)という。逆に冬季オリンピックは、世界的な景気サイクルの谷間に当たるため、株価が安くなるというわけだ。

今後の中国株は期待できる

 またオリンピック開催前後の株価に注目している。日本はTOPIX(株の全体的な動きを表す指数)、米国はS&P500(スタンダード・アンド・プアーズ社が算出している株価指数)を使って比較。調査の結果、日米ともに、夏季オリンピック期間の株価は上昇トレンドを形成していた。ただオリンピック開始直前の日本の株価は、下落する時期もある。一方、米国の株価は日本より少し早く、上昇のペースが落ちていることを、吉野氏は分析した。「オリンピックに向けた景気や人々へのポジティブな効果が直前で出尽くすからだろう」(吉野氏)としている。

オリンピック開催前後の株価。0は開催日の前営業日を基準にしている

 さらに吉野氏は過去5回の開催前後の株価は、どうなっているのか? を調査している。1992年に開かれたバルセロナオリンピックだけが、開催後に株価が大きく下落。しかし、その後は上昇が続いた。オリンピック前の株価では、全体的に横ばい傾向が見られる。「オリンピック後の景気減速などの不安から株価の上昇は鈍くなるが、実際は(経済指標などの修正により)上昇する傾向がある」

 それでは開催地である中国の株価はどうなるだろうか? 景気の拡大が期待されているため、中国の株価は上昇を続けている。しかし「中国株はバブルだ」といった見方も強く、「いつ株価が下落してもおかしくない」と懸念されている。

 もちろんオリンピックの開催だけで、株価が決まることはない。しかし“中国バブル”の不安に対しては「過去のオリンピック前後の株価を見ると、今後の中国株は期待できるだろう」(吉野氏)

オリンピック開催前後の各国株価指数の動向

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