金融資産500万円を持っていれば、ちょうど真ん中

» 2008年03月03日 12時07分 公開
[Business Media 誠]

 日本人は金融資産をいくらぐらい保有しているのだろうか? 日本銀行の発表によると1500兆円を超えているが、2人以上の世帯で見ると、どれくらいの金融資産を持っているのだろう。金融広報中央委員会の調べによると、全体の平均値は「1259万円」――。この数字は貯蓄ゼロの世帯も含めているため、多くの人から「そんなに持ってないよ……」と嘆きの声が聞こえてきそうだ。

 預貯金がまったくない世帯を含めての平均値……ということは金融資産1億円以上を保有する「フィナンシャルリッチ」の世帯が多いということなのか。調査の結果、フィナンシャルリッチの世帯は0.79%で、金融資産5000万円以上の世帯は4.81%いることが分かった。

 金融広報中央委員会は「家計の金融行動に関する世論調査」を実施した。訪問と郵送で調査を行い、全国の3037世帯(20歳以上でかつ2人以上の世帯)が回答。調査期間は2007年10月9日から11月16日まで。

金融資産500万円を保有していれば、ちょうど半分

 金融資産の平均は1259万円だったが、実は全世帯の約7割が平均値よりも保有額が少なくなっている。なぜこのような結果になったのか? 例えば10世帯のうち9世帯が100万円を持っていて、残りの1世帯が1億円を持っていたとしよう。そうすると平均値は1090万円となり、9世帯が平均以下となる。

 平均値の欠点を補うため金融広報中央委員会は、中央値を用いることで一般的な家計像を調べている。中央値とは金融資産の保有額の少ない順(または多い順)に並べると、真ん中に位置する世帯の金額だ。今回の調査で中央値は500万円。つまり金融資産500万円を保有していれば、ちょうど半分の世帯が自分の貯蓄額よりも多く、残り半分の世帯が自分の貯蓄額より少ないのだ。

債券と投資信託が昨年比で増加

 金融資産を保有している世帯だけを見ると、平均値は1624万円で平均値は892万円。この数字は過去10年間で最も高く、昨年と比べ8.37ポイントも増加している。

 金融商品別に見ると、預貯金の構成比が最も多く53.1%で、相変わらず金融資産に占める割合は高い。ただ郵便貯金は減少傾向にあり、3年前と比べ−4.2%となっている。一方で有価証券(債券、株式、投資信託)の保有比率は増えつつあり、中でも債券と投資信託は昨年比で2ポイント前後伸ばしている。ここ4年間で最も構成比を伸ばしている金融商品は投資信託で、2004年と比べ約4.5倍の増加。ただ株式については株式市場の低迷を受け、昨年比−0.8ポイントだった。

 金融商品を選ぶ際に重視していることは「元本保証」が最も多く28.4%、次いで「少額でも預け入れが自由にできる」が21.7%、「取扱金融機関が安全」が18.1%。これを「安全性」「流動性」「収益性」と3つの基準に分けると、「安全性」を重視する人は46.5%、「流動性」が28.1%、「収益性」が16.5%という結果となった。

 金融機関の選択基準は「近所に店舗やATMがあり便利だから」が76.8%で断トツ、次いで「経営が健全で信用できるから」が34.1%、「店舗網が全国的に展開されているから」が23.5%。この結果については1998年の調査と比べ、ほとんど変化がない。金融機関を選ぶ際には「利便性」「健全性」を重視する傾向に変わりがないようだ。

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