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» 2008年05月21日 10時24分 公開

神尾寿の時事日想・特別編:「私のミッションは終わった」――ドコモ退社直前、“おサイフケータイの父”夏野氏が語る (2/2)

[神尾寿,Business Media 誠]
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おサイフケータイにおける「私のミッションは終わった」

 ところで少し過去を振り返ると、夏野氏は2004年のおサイフケータイ開始にあたり、およそ5年で「おサイフケータイの存在が当たり前のものになる」と予想した。あれから4年が経過したわけだが、今の状況や今後のおサイフケータイを、どのように見ているのだろうか。

 「この4年のおサイフケータイ普及を見ますと、『予想以上に早かったな』と思っています。また、ユーザーの利用動向で見ましても、1回でもおサイフケータイを使った人の継続利用率は申し分のないものになっている。つまり、『おサイフケータイが手放せなく』なっているわけです。これらはすべて(私の)予想通りです。

 あとはICアプリの初期導入において、リテラシーの低い方の利用促進にハードルがあるのは確か。ここはらくらくホン プレミアム(参照記事)のように、携帯メニューの中に(おサイフケータイの機能を)溶けこませるような取り組みが始まっています」(夏野氏)

 あと1年で、おサイフケータイ開始から5年。そのタイミングでマクドナルドにかざすクーポンを導入できたことは、夏野氏にとっても“1つの区切り”であったようだ。

 「マクドナルドでかざすクーポンが始まったことは、おサイフケータイにとって“残された最後の大陸”であるファストフード業界がついに動き出した。これによって私のミッションも終わったのかな、と。そのように思っています」(夏野氏)

「かざすクーポン」発表会での写真。日本マクドナルド取締役上席執行役員 兼 The JV 代表取締役社長の前田信一氏(左)と

 携帯電話のビジネスは、1人の力で作り上げられるものではない。それはiモード、そしておサイフケータイも同じである。だが、夏野氏の情熱と行動力が、FeliCaおよびおサイフケータイ関連サービス・ビジネスの市場拡大と活性化において重要な役割を果たしたことは確かだろう。

 夏野氏はドコモ退社後、慶應義塾大学総合政策学部メディア研究科の教授や複数企業の役員をしながら、新たなビジネスに携わっていくという。おサイフケータイは課題はあれど独り立ちを始めており、「非接触ICとケータイの連携・融合」という類似のコンセプトは世界的なトレンドになりはじめている。“おサイフケータイの父・夏野氏”の門出に敬意を表したい。

 →おサイフケータイの狙いは何か、ようやく全貌が分かるだろう――NTTドコモ夏野氏に聞く(前編)

 →DCMXは、EdyともSuicaとも共存する――NTTドコモ夏野氏に聞く(後編)

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