老舗企業が重視するのは「信・誠・継」

» 2008年06月04日 07時00分 公開
[Business Media 誠]

 老舗企業といえば「歴史」「伝統」といった単語を思い浮かべる人もいるだろう。一方で明治末年(1912年)までに創業した老舗企業は、どんなことを重視しているのだろうか。重要視しているキーワードを漢字一字で表現すると「信」(197社)が最も多く、次いで「誠」(68社)「継」(31社)であることが、帝国データバンクの調べで分かった。

 4位以下には「心」「真」「和」といった漢字が並んでいることから、「顧客から信用、信頼されること、誠実、真実の経営で社内の融和を図ること、そして次の代に事業を継承することを老舗企業の多くは考えているようだ」(帝国データバンク)

 また自社の社風を漢字一字で表すと「和」(158社)が最も多く、「信」(63社)「誠」(53社)と続いた。重要視しているキーワードで「信」と回答した企業で、社風も「信」とした企業は6%。逆に社風を「和」とした企業で、重要視しているキーワードを「和」と回答した企業もわずか3%だった。

 郵送による調査で、明治末年(1912年)までに創業した企業814社が回答した。調査期間は3月24日から4月10日まで。

老舗企業として重要視すべきことを「漢字一文字」で表現(クリックして拡大、出典:帝国データバンク)

老舗企業の弱みは「保守性」

 老舗企業は、老舗の強みと弱みを何だと考えているのだろうか。強みで最も多かったのは「信用」で73.8%、次いで「伝統」(52.8%)「知名度」(50.4%)。一方、弱みで最も多かったのは「保守性」で54.9%、「社員の高齢化(または後継者難)」(34.8%)「設備の老朽化」(32.3%)と続いた。「保守性」を強みに挙げた企業は5.5%しかなく、老舗企業にとって「保守性=マイナスイメージ」が強いようだ。

 このほか弱みとして、「決断が慎重でスピード感がない」「社員の固定観念が強い」「変化を嫌う社風」「冒険の難しさ(チャレンジ精神の生まれにくさ)」など、保守性が足かせになっているのかもしれない。

老舗企業の強み(クリックして拡大、出典:帝国データバンク)

本店所在地は大都市圏に集中

 老舗企業2万4234社を業種別に分けると、「小売業」が多く29.0%、次いで「製造業」(25.5%)「卸売業」(24.9%)と、この3業種で全体の8割を占めた。扱い品目別で見ると、小売業は「飲食料品」「織物・衣服・身の回り品」「家具・建具・什器」など、衣食住に関連した業種が多く、製造業でも「飲食料品」が約半数に達した。

 本店所在地を都道府県別で見ると、最も多かったのは「東京都」で2172社、次いで「愛知県」(1270社)「大阪府」(1265社)。しかし明治維新(1867年まで)に創業した2879社に限定すれば、「京都府」(269社)がトップだった。当然、創業地からほかの都市へ本店を移転している企業もあるが、新潟、長野、兵庫といった「酒どころ」を除けば、大都市圏に老舗企業が集中していることが分かった。

老舗企業数トップ10(クリックして拡大、出典:帝国データバンク)

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