FXの株式版「CFD」市場はどこまで拡大するのか? 相次ぐ新規参入

» 2009年03月26日 18時06分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 サブプライムローン問題をきっかけに、低迷が続いている株式市場。「なかなか株価が上がらないので、株式に投資ができない」という個人投資家も多いだろう。そんな中「CFD」(Contract for Difference:差金決済取引)という金融派生商品が注目を浴びつつある。

 CFDとは世界各国の株式や株価指数、債券、コモディティと呼ばれる金や石油など、さまざまな金融商品の“値動き”に反映する金融派生商品。株式投資のように証券取引所などを介さず、また現金の受け渡しを行わない「差金決済」(反対売買をして差額を受け渡す方法)という方式で取引する。FX(外国為替証拠金取引)と同じようにレバレッジ(証拠金倍率)をかけての運用が可能で、「買い」だけではなく「売り」からも入れることから“FXの株式版”とも呼ばれている。

CFDと株式の現物取引の違い

CFD 株式の現物取引
資金 一定額の証拠金が必要 取引額と同額の資金
売買 「買い」「売り」どちらからも可能 初回取引は「買い」のみ
口座 1つの口座で一括管理ができる 国が違えばそれぞれの口座が必要
リスク レバレッジによっては投資額以上の損失が出る 損失は投資額の範囲内

CFD市場に相次いで業者が参入

エフエックス・オンライン・ジャパンのジェームズ・ダラス・ガウ社長

 CFDの認知度はまだまだ低いものの、金融業界では「新たな収益源の1つ」として期待を寄せている。オリックス証券では2008年12月にCFDの取り扱いを始めてから、わずか1カ月ほどで1000口座を突破。同社ではFX取引を開始した2004年2月から、1000口座を獲得するまで5カ月弱ほどの期間を要した。このことからもCFDの反響の大きさがうかがえる。

 また2009年に入ってからも“新規参入組”は相次いでおり、ネット証券最大手のSBI証券は3月18日にCFDの取り扱いをスタート。「まだまだ玄人好みの金融商品かもしれないが、今後、CFD市場が大きくなるのでは」(広報担当者)と見ている。

 さらにFX取扱会社のエフエックス・オンライン・ジャパンは3月23日に、CFDを導入した。同社の取扱銘柄は日本・米国株式、株価指数など2500銘柄以上が対象。中でも日本株式約500銘柄、株価指数30銘柄は国内で最も多い。「今後は商品や金利、債券など取扱銘柄を順次追加し、新たな株式を含めて将来的には約9000銘柄を予定している」(ジェームズ・ダラス・ガウ社長)と、力を入れていく構えだ。

 現在CFDを取り扱っている業者は数えるほどしかなく、今後の市場拡大は未知数だ。「これまでCFDの市場は小さく、1社で3000口座ほどだった。ただ1400万口座(FX市場の150万口座+ネット証券の1250万口座)の5%……70万口座に拡大するのではないか」とし「CFDはFXよりも、早く市場が拡大するだろう」(エフエックス・オンライン・ジャパンの博多一恭取締役)としている。

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