『らき☆すた』原作者の旧自宅に行ってみた誠 Weekly Access Top10(2009年3月21日〜3月27日)(1/2 ページ)

» 2009年03月30日 20時20分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「その名に恥じない3代目――トヨタ「プリウス プロトタイプ」に乗ってみた」。2位は「『らき☆すた』『true tears』に学ぶ、アニメツーリズムの可能性」、3位は「結婚相手に求める年収はいくら?」だった。

『らき☆すた』原作者の旧自宅に行ってみた

 「『らき☆すた』『true tears』に学ぶ、アニメツーリズムの可能性」で少し触れているが、「らき☆すた」の町おこしイベントは3月28日から新たな展開が始まった。埼玉県鷲宮町では好評だった携帯ストラップの販売を再開、隣の幸手市では『らき☆すた』原作者の美水かがみさんの旧実家を『らき☆すた』のキャラクターが住んでいるという設定で改装して公開している。そこで公開2日目の3月29日、筆者も実際に鷲宮町と幸手市を訪問することにした。

 鷲宮町の玄関口である鷲宮駅には、東京中心部から東武鉄道伊勢崎線などを乗り継いで1時間ほどで着く。時間帯によっては浅草駅まで乗り換えなしで行くこともできるので、東京のベッドタウンになっており、駅前では子どもの姿を頻繁に見かけた。

駅名は鷲宮(わしのみや)駅、町名は鷲宮(わしみや)町(左)、駅に張られていたホビーショップのポスター。「ラジコン・ミニ四駆・鉄道模型・らきすた」という謎の分類(右)

 駅前の商店では『らき☆すた』ポスターや原作者のサインなどが飾られており、「携帯ストラップ完売」との旨も記されている。商店街の各店舗では携帯ストラップを150個(全12種類のうち2種類を90個、60個ずつ)販売できるのだが、わずか1日でこの商店の在庫はなくなったことになる。レンタサイクルを借りるための申請書を書いていると、すぐ前に借りた人は京都府舞鶴市から来ているようだった。商店主に聞いたところ、最近は石川県や新潟県、九州などから来た人もいたが、関西からの観光客が比較的多いという。

駅前の染谷商店。観光客向けにレンタサイクルも行っている(左)、『らき☆すた』原作者、美水かがみさんのサイン。店主の息子さんの同級生が地元新聞の記者で、取材をした時にもらったものだ(右)

 レンタサイクルで鷲宮神社に向かうと、駅から5分ほどで着く。アニメのキャラクターなどをペイントした『痛車』が神社の駐車場に数台とまっていたが、『らき☆すた』とは関係なく参拝に来ているらしき年配の人も目立っていた。

鷲宮神社(左)、鷲宮神社の近くには黒板が設置してあり、告知なども行える(右)

 鷲宮神社では、「画力向上」「今年こそ3次元の彼氏ができますように」とほかの神社ではあまり見られないような願い事を書いている絵馬も奉納されている。3割くらいの絵馬がイラスト入りで、1人で数十枚書いている人も何人かいた。

1人で何十枚も奉納する人も(左)、時節柄、WBC日本代表を応援する絵馬も。しかし、『らき☆すた』のキャラクターではないような……(右)


 鷲宮神社周辺の商店では携帯ストラップのほかにも、『らき☆すた』にちなんだ弁当やコスプレ衣装も販売している。売れ行きは好調で、前日は弁当が40食分完売、コスプレ衣装も2着売れたそうだ。

携帯ストラップは生活感のある箱に入れて販売(左)、キャラクターによって人気に差があります(右)

魚屋の店頭で販売される弁当(左)、はし袋も『らき☆すた』仕様(右)

スクール用品店……のはず(左)、「コスプレ衣装はネタで置いてるだけですよね?」と尋ねると、「昨日2着売れましたよ」とのこと(右)

鷲宮町商工会前で見かけた車(左)、後ろはこうなっています(右)

鷲宮町立図書館の入り口でも『らき☆すた』での町おこしを紹介する新聞記事が飾られている

 鷲宮神社と幸手市の原作者旧自宅とは直線距離で4キロメートルほど離れているので、自転車でも40分くらいかかる。それでも3月28日のオープン日には、何人もがレンタサイクルで向かったという。

 筆者も自転車で行くことにしたのだが、途中の風景が筆者の実家がある奈良中部エリア(?)に似ていて、ちょっと懐かしい気持ちになった。高いビルがほとんどなく、家と家との間隔が広く、ところどころに田んぼが点在しているというのは、典型的な地方都市の郊外の風景。

 東京国際アニメフェアの講演で北海道大学観光学高等研究センターの山村高淑准教授は「ふるさと体験を求めて鷲宮町を訪れる人がいる」と語っていたが、筆者のように鷲宮町を自分のふるさとと重ねている人もいるはず。きっかけは『らき☆すた』だが、結果として自分のふるさとを思い出してみこしを担ぐことにした人も少なくないだろう。また、来訪者との交流を楽しそうに語る商店主たちの様子を見ると、子どもくらいの世代である来訪者と触れあうことで、商店主たちもまた、田舎に帰ってきた子どもと触れあうような疑似体験をしているのではないかとも感じた。

鷲宮町にて(左)、幸手市は桜の名所でもある(右)

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