価格と中身
上記のようなお客様の意識+供給側の都合によって、当然、価格に販促費や流通対策費が加算されるので土産物は、地元のお菓子とかより、比較的高くなる。味と価格のバランスを正確に考えた場合、不釣り合いな事が多い。これも、「名物に美味いものなし=期待はずれ」の大きな要因だろう。
では、それだけなのか? 名物土産が「そこそこの量産」化に走る原因は、それだけか?
そこで、皆さんに考えてもらいたい。実は、それぞれの名物のある地元の人々は、その名物を食しているのか? 私は、福岡在住なので「24位 博多通りもん」が、いまの博多土産の主流ということになる。ほかにないミルク餡が、なかなかいけてる。でも、おまえは、それをいつ食べたのか? と言われたら、遙か昔のことだ。
京都にも5年住んでいたことがあるが、「4位 八ツ橋」を、その地で食べた事など記憶にない。「東京バナナ」を、東京の人達が食べているのを見たことない。 名物土産って、地元にとっては、近いようで遠い存在なのだ。言い換えると、近いところでのPDCA(事業活動の「計画」「実施」「監視」「改善」サイクル)が回らない……強いチェック機能が働かない商品であると言える。
悲しいことだが、地元の人達が、毎日食べて、切磋琢磨を続ける商品はこだわるがゆえに、決してその生産量は、全国の規模にはならない。過剰販促で、お化粧をすることもない。「地元名物においしいものあり」であり、「全国名物においしいものなし」なのである。
だから、観光客や出張族にとっての名物土産は、「安全パイ」という大人のお土産なのである。お後がよろしいようで……。(中村修治)
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