その上、ハウスは朝カレーに独自のポジショニングを与えた。これは時間節約を考えたからか(=母親メリット)、あるいは実際のユーザーとなる子どもにとっての食べやすさを重視したからかは、今のところ分からない。ともかく従来のレトルトカレーと比べれば、この朝カレーのポジションは明確に違う。
どちらに重点を置いて開発されたのかはおくとする。ただ、いずれにしても「朝ゴハン専用として考え抜いた開発された」イメージは、十分につく。すなわち、お母さんたちにとって、このカレーを選択すべき理由付けとなる。
とまあ緻密に組み立てられたであろう戦略があるのだから、プロモーションだって手抜きなしである。「たくましさ」をアピールするために、楽天イーグルスの田中将大投手をイメージキャラクターに起用し、「母親が傾聴する午前中に集中的に(テレビCMを)投入した」(日経MJ新聞2009年5月20日、3面)
まさか、今年のマー君の大活躍を読んでいたはずもないだろうが、開幕から不動のエースとして連勝街道を突っ走る彼の好調ぶりは、格好のバックアップとなったのではないか。
丹念にマクロ分析をした上で流れを読み、セオリーに従ってSTP(効果的に市場を開拓するためのマーケティング手法)を組み立てる。しかも狙いは、あくまでも絶対需要である。そこで見えてきたのが、母親への強力なメリット。ここに気がついたとき、企画チームは小躍りして喜んだんじゃないだろうか。
しかも、そうした努力を後押しするかのようなマー君の奇跡的な活躍。売れるべくして売れたカレー、それが「めざめるカラダ朝カレー」なのだ。(竹林篤実)
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