なぜテレビは面白いのか? 放送作家のボクが考えてきたこと35.8歳の時間・都築浩(5/6 ページ)

» 2010年06月04日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

放送作家の仕事の面白さ

雑誌『TV Bros』で紹介される

 放送作家の仕事の面白さは「共同作業で何かをする」ことにあるのではないでしょうか。中学生や高校生のときに行われていた文化祭は大嫌いだったのですが、いまは40歳を過ぎて、毎日が文化祭といった感じ。しかも真剣になって(笑)。また自分が面白いものを考え、何百、何千万の人たちに見てもらえるということはとてもワクワクしますね。

 ボクはずっとアルバイト感覚で働いてきたのですが、その一方で“職人”だとも思っています。放送作家と聞けば、クリエイティブな仕事をイメージする人もいるかと思いますが、ボクは職人としての側面が必要だと考えています。例えば番組が存続の危機を迎えているときに、どのようにすれば乗り切れることができるのだろうか――。そういったことを考え、実行しなければいけません。クリエイティブなのですが、そこには職人技が必要。その部分はとても大切にしていますね。

 同業者から見れば「この番組は、あの放送作家が携わっているな」というのが分かります。例えると、家を見ればどの大工さんが建てたのかが分かるようなもの。ボクの場合は性格がひねくれているので、そうした部分が番組に出ているかもしれませんね。言葉で表現するのは難しいのですが、ちょっとナナメから見た感じでしょうか。もちろん番組によってはディレクターの色が強く出るときもありますし、出演者の色が強く出るときもあります。ただ見る人が見れば「あいつはちゃんとした仕事をしているなあ」と分かるので、そうした評価は大切にしていきたいですね。

ずっと全速力で走っている、といった感覚

 この仕事をしていると、何かに動かされているのかな、と感じることがあるんですよ。今日会議したものが、来週には放送されて、翌日には視聴率が分かる――。ずっと全速力で走っている、感覚に近いかもしれません。ネズミではありませんが、ずっと走らされている部分はあるでしょうね。また家族でテレビを見たり、1人暮らしの人がテレビを見たり、疲れたサラリーマンがテレビを見たときに、ボクが携わっている番組で笑ってもらえば、少しは社会に貢献できたかなあとも思いますね。

 この仕事は外から見ていると華やかに感じるかもしれませんが、実際はそうではありませんよ。ボクの場合、1週間のうち4〜5日は1ミリも外に出ない生活を送っていますから(笑)。自宅マンションの地下駐車場からテレビ局の地下駐車場に着いて、そのまま局の会議室へ。それが終われば、次の局の地下駐車場へ。そのまま局の会議室に行って、終われば地下の駐車場からマンションの地下駐車場へ。そしてそのまま上に上がって、自分の部屋で寝る……。もちろん外が暑い・寒いといった感覚はなく、雨に濡れることもほとんどありません。こんな生活に耐えられる人は、少ないかもしれませんね(笑)。

テレビ朝日で担当した番組

いきなり!黄金伝説

Q99

ナイナイナ

SmaSTATION−1〜6

テレビ東京で担当した番組

浅草橋ヤング洋品店

ASAYAN

名門パープリン大学日本校

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