『人を動かす』から『トトロ』まで……Amazonのロングセラーランキングを調べてみた誠 Weekly Access Top10(2010年7月31日〜8月6日)

» 2010年08月12日 11時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「なぜガリガリ君は、イチゴ味が定番化しないのか?」。2位は「日本商品がやたらとオーバースペックである理由」、3位は「もう限界かもしれない……“ブラック企業リスト”の実態」だった。

アマゾンで現代のロングセラーを調べてみた

 4位の「あの『日清ラ王』が、消えてしまうワケ」を読んで、衝撃を受けたカップラーメン好きの人は少なくないだろう。生タイプの先駆けであるラ王だが、高級タイプのノンフライ麺との競合が激化して、年を追うごとにシェアを落としていたのだという。日々、多種多様な新製品が登場する現代、定番として存在し続けることは極めて難しいことを象徴しているように思えた。

 では今、定番として受け入れられているのは、どんな商品なのだろうか。カップラーメンに限らず、現代のロングセラーがどういう商品なのか気になった筆者。そこで、Amazon.co.jpのベストセラーランキング※をチェックして、ロングセラー商品を探してみることにした。

※Amazon.co.jpのベストセラーランキングは、予約発注も含む注文数に基づいたランキングなので、正確には売り上げランキングというわけではない(販売数ではなく注文数なので、1回の注文で同じ商品を100個注文しても、1注文数としかカウントしない)。

 Amazon.co.jpでは、各カテゴリごとに過去24時間のベストセラーを100位まで公表、合わせて100位にランクインしている日数も表示している。その日数が長い商品を探せば、現代のロングセラーが分かるというわけである。本部門、DVD・Blu-ray部門、ゲーム部門、音楽部門の4カテゴリについて上位5位までを調べてみた結果が以下のものだ(8月12日時点)。

本部門

 本部門のトップはビジネス書の定番『人を動かす』、100位以内期間が唯一の1000日超えとなった。上位は英語教材からマンガまでバラエティ豊かだが、Amazon.co.jp利用者層の関係からかビジネス書が目立っているように見える。

順位 タイトル 作者 100位以内期間
1位 人を動かす デール・カーネギー 1289日
2位 DUO 3.0 鈴木陽一 527日
3位 ワイド版 風の谷のナウシカ7巻セット「トルメキア戦役バージョン」 宮崎駿 505日
4位 生物と無生物のあいだ 福岡伸一 428日
5位 自分の小さな「箱」から脱出する方法 アービンジャー インスティチュート 395日

DVD・Blu-ray部門

 DVD・Blu-ray部門は「嵐VS. アニメ」と言っていいだろう。ロングセラー上位10位までのうち、アニメが6作品、ジャニーズの嵐が3作品、東方神起が1作品となっている。そんな中、100位以内期間が1573日と断トツのトップとなったのは、スタジオジブリの名作『となりのトトロ』。1988年に公開された作品なのだが、数十年の時を超えて支持されていることを思うと、感慨深いものがある。

順位 タイトル 作者 100位以内期間
1位 となりのトトロ 宮崎駿 1573日
2位 SUMMER TOUR 2007 FINAL Time-コトバノチカラ- 527日
3位 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(EVANGELION:1.11) 庵野秀明、摩砂雪、鶴巻和哉 376日
4位 5×10 All the BEST! CLIPS 1999-2009 316日
5位 化物語 第六巻/つばさキャット 下 新房昭之 277日

ゲーム部門

 ゲーム部門はハードやポイントカードなどを除いた、ソフトだけのランキングを調べた。トップは2009年に発売された『トモダチコレクション』。初週売り上げは10万2000本だったが、毎週数万本以上を売り上げるロングセラーとなり、2010年3月に300万本を超えた息の長い作品である。2位には『Wiiフィット プラス』、3位には『ニュー・スーパーマリオブラザーズ・Wii』が入るなど、任天堂作品の強さが光っている。

順位 タイトル メーカー 100位以内期間
1位 トモダチコレクション 任天堂 441日
2位 Wiiフィット プラス 任天堂 343日
3位 ニュー・スーパーマリオブラザーズ・Wii 任天堂 265日
4位 Demon's Souls(デモンズソウル)PlayStation 3 the Best ソニー・コンピュータエンタテインメント 211日
5位 モンスターハンター フロンティア オンライン ビギナーズパッケージ(オンライン専用) カプコン 167日

音楽部門

 音楽部門はランキングの入れ替わりが激しいのが特徴。100位以内期間が100日を超えている作品は1つもない。トップはテレビアニメ『Angel Beats!』に登場するバンドの作品である『Keep The Beats!』だが、全体的に見るとベスト盤が目立っている。

順位 タイトル アーティスト 100位以内期間
1位 Keep The Beats! Girls Dead Monster 93日
2位 BEAST VAMPS 92日
3位 初音ミクの消失 / cosMo@暴走P feat. 初音ミク cosMo@暴走P feat.初音ミク 79日
4位 ALL COVERS BEST(完全生産限定盤B) コブクロ 78日
5位 ALL COVERS BEST(完全生産限定盤A) コブクロ 78日

夏の自由研究におススメ

 もちろん、Amazon.co.jpはインターネット通販ということで、実際の全体の売り上げと比較すると偏りも出ているだろうが、こうして見ると結構面白いと感じていただけるのではないだろうか。

 ちなみに日本以外のAmazonのランキングを見てみると、中国の本部門ランキングでは村上春樹著『1Q84』が上位に入っているなど、中々興味深い。小学生は夏休みの宿題として、天気の観察のようなありがちなことをするのではなく、Amazonのランキングを日々観察して分析したら今風で面白いのではないかと思ったりもする。

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