人気ブロガー・ちきりんさんと、人事コンサルタント・城繁幸さんの対談連載6回目。城さんはよくこんな質問を受けるという。「もし息子さんが就職する場合、どの会社をオススメしますか」と。この質問に対し、城さんはどのように答えているのだろうか。
ちきりん:私は大学を卒業し、日本の証券会社に就職しました。年齢に関係なく、売り上げをあげている人が分かりやすいので、成果主義を導入しやすい会社でした。
メーカーに勤めていた城さんの本を拝読して「こんな世界が存在していたの?」と思いました。同じ国なのにガラパゴスの世界がそこにあるみたいな。
城:僕の感覚だと、金融の世界の方がガラパゴスだと思いますね。証券会社はそうではないですが、銀行や生損保の人事制度はものすごく古い。
例えば入社式に薄いブルーのワイシャツを着ることも許されなかったりする。もし着ていったら上司に「お前、今度こんなシャツ着てきたらクビだからな」などと言われたりする。
生保に入社した人に聞いたのですが、新人研修のときに「契約を1人、10件取ってこい」と言われたそうです。そして同部屋になった人同士がお互い保険に加入したりする。お互いの親兄弟、知り合いに電話をかけまくって、契約をとっていくんですよ。
また社内FA制度(会社が必要しているポストや職種を、社内で募集する制度)を始めても、応募するのに直属上司の承認が必要だったりする。これって社内公募の意味をなしていませんよね。ただの人事異動。上司の承認を得なければいけないので、誰も手を挙げない。
ちきりん:確かに服装は厳しいですね。若い人がダブルのスーツを着ていこうものなら、今すぐシングルのスーツを買ってこいと怒られたり。
城:服にうるさいのは、やっぱり信用ですか?
ちきりん:昔の銀行はアタッシュケースの中に札束を入れて、お金を預かってきたりしてたんですよね。売上金の回収とか、札束を持ち運ぶことが多かったのではないでしょうか。多額のお金を預かったり、持って行くことが仕事なので、そのときにどこのニーチャンか分からないような服装ではマズイ。
また銀行員の給与が高いのも、「お金を横領して持って逃げたら損だ」と思うくらいの水準でないといけないからと言われています。本当かウソか分からないですが、地方銀行なんかだと就職するときには家柄なんかも調べているといわれていたり。信用商売だと言っているわりには……って気もしますけどね(笑)。
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