原発ではどんな人が働いているのか? 底辺労働者の実態に迫る(2/4 ページ)

» 2011年06月10日 12時08分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

本当の悲劇が始まる

 原発での労働形態はどのようになっているのかをご存じだろうか。まず原発があって、その下に元請け(財閥系)、下請け、孫請け、ひ孫請け、親方、日雇い労働者と続く。東電の社員は基本的に原発の中で作業をしないが、事故後には入っている。なぜか? それはマスコミが労働者の被ばくに注目したので、自分たちが入らざるを得なくなったのだろう。

 また外にあった緊急用の発電機が壊れてしまったので、これを修理しなければいけない。これが動かないと、冷却水が回らないので、東電の社員が原発で作業をしているのだ。

 今、労働者はとんでもないところに突っ込まれている。緊急作業時ということで、被ばく線量の上限を250ミリシーベルに設定した。私は、この環境で作業をしている人たちは5年〜10年後に全員死んでしまうと思っている。本当にそう思っている。

原発では労働者が人海戦術で働いている

 また東電は事故を収束させると言っているが、誰が作業するのだろうか。私は、事故を収束させるのには、東電の社員が入るしかないと思っている。しかしそうなれば、東電の社員がいなくなるので、結局は下請け労働者が作業をしなければいけなくなるのだ。つまり、本当の悲劇はこれから始まるのだ。

 下請け労働者たちはどのような仕事をしているのだろうか。私が取材したところ「放射能除染作業」が最も多く、その仕事内容は雑巾で床をふきまくるというもの。このほか「ランドリー(洗濯)」「パイプ補修」「パイプ掃除」「スラッジ(ヘドロ)かい出し」「廃棄物処理・運搬」など300種類以上の仕事がある。

作業が終われば、労働者は全身を洗う

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