シンプル追求で環境経営――ローソン、ユニフォームをエプロンに

» 2011年06月15日 08時00分 公開
[中ノ森清訓,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中ノ森清訓(なかのもり・きよのり)

株式会社戦略調達社長。コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供している。


 ローソンは6月末から、夏の節電対策の一環として、店舗でのユニフォームをエプロンに変更する。この変更は今年9月末までの限定で、対象となるエリアは東京電力、東北電力管内の店舗約3000店舗。6月末より順次導入するという。

変更イメージ(出典:ローソン)

 今夏は節電対策で、いつもは寒いくらいのコンビニエンスストアも設定温度を上げるのだろう。そうなると、店内作業の多いスタッフにとっては、より暑く感じるかもしれない。

 筆者も学生の時にローソンでバイトをしていたので分かるが、コンビニエンスチェーンのユニフォームはかなりゆったりしており、下に何か着ていないと着心地が良くない。下に何か着ているのであれば、何もユニフォームでなくて良いのではないか、エプロンで代替できるのではないか。こういったシンプルさを求めた結果が、今回の取り組みの着想ではないか。

 一方、ユニフォームには店舗のイメージを利用者に好まれるものに保つ役割があり、社内でもそれを懸念する声はあっただろう。同社は、エプロンの下はタンクトップを不可とし、清潔感のあるTシャツやポロシャツなどに規定することで、そのバランスを取ろうとしている。

 確かに、事業をしていく上では、利用者の評価など色々と気にしなければならないことは多い。しかし、あらゆるニーズ、声に対応していこうとすると、オペレーションはどんどん複雑になり、余計なエネルギーや資源を使うことになりかねない。

 利用者から言われた通りに右から左に対応するのではなく、利用者のニーズを見極め、それにいかにシンプルに応えていくかを突き詰めて考える。そうすることは、単に環境経営に資するだけでなく、シンプルであるがゆえに利用者にとっても扱いやすく、迅速な対応が評価される事業、製品、サービスを提供することにもつながる。

 震災下にある東京電力、東北電力管内のみならず、浜岡原子力発電所の停止で中部電力管内でも、そして佐賀や福井など安全性への懸念から、定期検査で停止させた原子力発電所の再稼働を現時点では認めていない県が出てきており、電力の供給力に不安が出てきた地域が日本全国に広がりつつある。

 日本全国で節電について考えなければならなくなっている状況だが、これを機会にあなたの会社でも、ビジネスやオペレーション、製品やサービスをもっとシンプルに提供する方法がないか見直してはいかがだろう? (中ノ森清訓)

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