ほかに今回興味深いのは、多くの企業が採用広報・選考を12月に遅らせる雰囲気があることです。昔は就職協定など有名無実で、大手企業も含めてフライングが横行していました。その時期になってみないと分かりませんが、今回は比較的この方針や協定が守られそうな感じがします。採用意欲が非常に低下したからかもしれませんが、これには「企業も大人しくなったなあ」という印象を持ちます。「競争するより、決められたことは守ろう。それも“コンプライアンス”だろう」といった考えなのかもしれません。
このような経緯を振り返ると、まさに学生不在と言えます。望ましい職業選択に向けた策について産学官が議論を戦わすことなく、選考時期・内定時期という極端に矮小化された調整に終始しており、それが20年以上続いてきています。
職業について考えたり、仕事を体験したりする仕組みを作り、それを非常に長期で設定する、広告・宣伝ではない生の声を学生に届ける機会を作る。その上でまったくの通年で、選考や内容時期の申し合わせがない自由な採用市場を作ることが、学生本位の就職の仕組みだと私は考えます。(川口雅裕)
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