第1回 mixiを使っているのは誰なのか、そして新インタフェースの理由短期集中連載・mixiはどこへ行く?(3/3 ページ)

» 2011年10月31日 22時30分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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mixiボイスと日記をどう両立するか

 ミクシィ副社長の原田明典氏は新しいUIを設計するにあたり、「大切なのはリアルタイムさとエモーション感のバランス。ストック系の情報を、フロー系の情報の中でどう埋もれさせないようにするかを念頭に置いている」と話す。

 mixiにおいて、リアルタイム系の代表例がTwitter的な機能である「mixiボイス」、ストック系の代表例が「日記」だ。サービス開始当初のmixiは日記サイトとしての性格が強かったが、2009年以降、リアルタイム系サービスの整備を急いだ。それまで「エコー」としてテスト提供していたmixiボイスを正式サービス化(2009年、参照記事)、2010年にはmixiボイスとTwitterの連動機能を提供(6月)、気になる情報を1クリックでクリップし、マイミクと共有できる機能「mixiチェック」と、位置情報サービス「mixiチェックイン」をスタート(9月)といった具合だ。「2010年は、mixiボイスやmixiチェックといった新しいサービスをようやく整備し、PC版とモバイル版を同時進行で作った年だった。こういった(リアルタイム性の高い)サービスは、リアルの友人とmixiを使っている人には特に使いやすいため、重視して整備を進めた。またもう一つ、当時急速にTwitterボタンがいろいろなところに付くようになってきて、mixiもリアルタイム性の高いサービスを急いで整備しなくては、という理由もあった」(原田氏)

 リアルタイム系新機能は、PCではなく、携帯電話から主にmixiを使っているユーザーにとっては非常に手軽であり、使いやすいサービスといえる。実際にこれらのサービスは、急速にユーザーに受け入れられた。下図は2010年1月から2011年7月までの、mixiに投稿された総コミュニケーションの数だ。2010年1月には2億強だった投稿数が、1年後には6億強、2011年7月には9億に迫っている。

 このようにリアルタイム系コンテンツが増え続ける中で作られたのが、2011年以降モバイル、スマートフォン、PC版で順にリニューアルが進んでいる新しいUIだ。冒頭で紹介したように、リアルタイム性の高いタイムリーな情報を上に、日記などストック系コンテンツをその次に、最後に友人の動きを並べるというコンセプトは、従来の日記に代表されるストック系コンテンツをどのように埋もれさせないようにするか?という意図で作られている。

mixiの総コミュニケーション投稿数。コミュニケーション機能(ボイス、日記、フォト、カレンダー、チェック、チェックイン、イイネ!)の投稿数と各機能のフィードバック(コメント、イイネ!)数を総計したもの(出典:ミクシィ)

 本記事の執筆にあたってはミクシィの笠原健治社長、原田明典副社長の二人に2時間にも及ぶロングインタビューを行ったが、そこで2人の口から出たのが「規模の拡大を目指す」「我々はスケールする(規模を追求する)しかない」という言葉だった。

 拡大という言葉には2つの意味がある。一つはユーザー数の増加、もう一つはサービスの拡充だ。なぜmixiはサービスを増やさなくてはならないのか? 9月からスタートした「mixiページ」はどうなった? 次回はそれを考察する。

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