「最近の若者はダメ」というが、本当にそうなのかちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(5)(3/6 ページ)

» 2012年01月20日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
「海外旅行をしない若者はダメとは言えない」というちきりんさん

ちきりん:だから私は、今の若い人たちが海外に行かないのは好奇心や行動力がなくなったからではないと思ってます。さまざまな情報を手に入れて判断した結果、自分なりに考えてお金と時間を有効に使っているのでしょう。

 つまり時代によって、お金と時間の使い方が変化してるんです。昔の若者は海外旅行に、今の若者はネットの通信料や情報端末に多額のお金を使っています。今の若い人はネット関連の消費時間もスゴく長いですよね。

 よく「時代が変わる」と言いますが、こうした変化こそ“時代が変わる”という意味に思えます。その変化には「良い・悪い」はなくて、一概に「海外旅行をしない若者はダメ」とも言えないと思います。

中田:なるほど。「今の若い人たちが海外に行かなくなった。内向き志向だ」と言われていますよね。だけどちきりんさんの話を聞いていて、今の若い人たちは「結論を持っているのかも」と思いました。

 つまり「そこへ行かなくても分かっている」という結論。その結論というのは、日本のほうが快適で日本のほうが食事がおいしい。

ちきりん:しかも最近は食事でも服でもお酒でも、海外よりも日本のほうが安かったりする。

中田:テレビやDVDでそうした情報や光景を目にできるので、そこで結論がでちゃっている。

ちきりん:私たちの世代は「海外は完全に未知の世界」だった。だから海外に行ってみたかったんです。しかし今の若い人たちにとっては、もはや海外は好奇心をかき立てられるほどの未知ではなくなってしまっていると思います。

中田:昔は、不完全な情報でしかなかったというのもあるかもしれませんね。断片的で不完全な情報だったので「自分で見たい」「自分で行ってみたい」という気持ちが強かった。

 しかし今は情報があふれている。例えば、口コミサイトなどで「あの店は評判いいと書かれていましたが、おいしくなかったです」などと書かれていたとする。「おいしくなかった」というのは一見、自分の結論のようだけど、既に一定の結論があったことに対する対比です。「評判がいい」という結論を見たからこそ「行くか、行かないか」を決めているということですよね。

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