「最近の若者はダメ」というが、本当にそうなのかちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(5)(2/6 ページ)

» 2012年01月20日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
中田宏さん

中田:しかし今の時代は、そうした経験を積む機会が減ってきているのではないでしょうか。子供たちに「これさえできればいいよ」「それが君の個性だ」「君の個性を伸ばしなさい」といった雰囲気が社会全体に広がったせいで、視野が狭い社会になってしまった。だから年代が下がれば下がるほど視野が狭くなっていると感じてならない。

ちきりん:なるほど。ただ、最近の人の視野が狭いとか、人間力が低いという話はどうかなあ。昔の若者よりも、今の若い人のほうが、いろんなモノを見て知っていると思うんです。より多くの情報をもっているからこそ、行動が変わってきたんじゃないかな。

 例えば「最近の若い人は海外旅行に行かない」という指摘があります。ではなぜ昔の若者はこぞって海外に行きたがったのでしょう? 例えば私が若かったころは、簡単には海外旅行に行けなかった。岸恵子さんのような大金持ちの女優さんしかパリに行けない、といったイメージがありました(笑)。

中田:兼高かおるさんとかね(笑)。

ちきりん:そうそう(笑)。テレビに出ている人でないと、海外には行けないと思っていました。歳がバレちゃいますね(笑)。

中田:ハハハ。

ちきりん:私が大学生の頃、プラザ合意があって急激に円高になりました。そして若い人も海外旅行が可能になった。その時、なぜ若者が外国に行こうとしたかというと、それは「日本の外に出れば、素晴らしいものがあるかもしれない」と思っていたからだと思うんです。当時の若者はドラマの中でしか、パリを知らないから、そこは本当に素敵なところだと思い込んでいたんです。(笑)。

 でも今の若い人はすでに「パリってこんなところ」「ニューヨークってこんなところ」などと知っているわけですよ。ネットやブログで実際に行った人の感想を読み、写真も見ているし、現地でのトラブル事情なども含め、詳細な情報を得ているわけです。

 そうすると「世界の中で日本が一番便利だよね」「言葉の分からない国に行かなくても、日本で十分おいしいものを食べられるよね」といったことが行く前から分かってしまう。だから、限られたお金と時間をどう使うか、という判断をする際に、海外旅行と国内での娯楽や趣味を直接比較して、より価値が高いと思う方を選ぶ。すると必ずしも海外旅行が選ばれるわけではない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.