「最近の若者はダメ」というが、本当にそうなのかちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(5)(1/6 ページ)

» 2012年01月20日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

最近の若い人は

ちきりんさん

中田:ちきりんさんは『自分のアタマで考えよう』(ダイヤモンド社)という本を書かれました。まさに正鵠(せいこく)を得たタイトルですね。自分の頭で考える人が少なくなっているのではないかとつくづく思います。自分の頭で考えなくなると、人としての人間力が上がらないのでは……。また、そうした人が増えているので「日本社会全体の人間力が落ちている」と僕は感じています。

 例えば学校の教師は、昔も今も大学を卒業して採用試験に受かって教員になります。ほとんどの教師は、学校を卒業してすぐに教員になりますから、いろんな仕事を経験できません。でも、教師である以上、児童や生徒たちに「君は手先が器用だから大工が向いているんじゃないか」「君は金融の世界に飛び込んで、国際的な業務をやってみたらどうか」などとアドバイスします。しかし昔も今も、教師自身はそうした仕事を経験していない。

ちきりん:『自分のアタマで考えよう』、読んでいただけて光栄です! 確かに教師は学校の中以外の経験がないですよね。私も小中高の先生に将来のキャリア形成についてアドバイスを受けた記憶はほとんどありません。自分が経験していないことを伝えるのは難しいですよね。

中田:それでも子どもにアドバイスするのが教師です。そのためには社会に対する好奇心を持って、いろんな人間、いろんな価値観、いろんな現象があることをできるだけ多く、しかもできるだけ深く知って、その上で自分の頭で考えるという日常が大事だと思うんです。それが、物事に対する洞察力や想像力を養うことになり、私なりには、さっき言った人間力というものだと思います。

 別に教師だけのことを言っているわけではありません。昔はそうした積み重ねの日常があったので、人間力が今に比べて高かったのではないか。学校を出ただけの教師に変わりはないけれども、子どもたちへのアドバイスができたのだと思ったりする。

 昔は地域にいる大人の話を聞く機会が多かったですよね。また伝記を読んで、子供ながらにときめく人間像を発見したり、小説を読んで人生の疑似体験をしたり。そうした経験を積むことで、人間力を高めていたと思う。

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