「最近の若者はダメ」というが、本当にそうなのかちきりん×中田宏、政治家を殺したのは誰か(5)(4/6 ページ)

» 2012年01月20日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

ちきりん:そうですね。今の若い人でレストランを探すとき、ネットで評判などの情報を全く集めず予約する人は少数派だと思います。「どんなものか分からない店に行く」というのはなくて、「おいしいと言われているから行く」んです。それが「情報化社会」と呼ばれているわけですよ。

 本の場合でも、Amazonにレビューが30個付いていたとすれば、本を読まずに、レビューだけ読んで「読んだ気になる」ことさえあり得るわけです。

 昔のように、本の中身について何の情報もなければ、「この本おもしろいかな、おもしろくないかな」と、自分で書店まで行ってみて考えますけど、「わざわざ見なくても、ネットのレビューでだいたい分かる」と感じてしまうんだと思います。別の言い方をすれば、価値判断を“レビュアー”という他人に委ねてしまっている。

 また、おもしろいかどうか分からないのでとりあえず買ってみよう、という感覚も薄れてきています。「分からないけどとりあえず読んでみる」なんて言ってたら、“情報弱者”扱いされちゃうんです。自分で試してみるというリスクをとらない人、他人の口コミを信じる人が“情報強者”だというわけです(笑)。

ネット上に「いい結論」と「悪い結論」

「人から本を薦められることが好き」という中田さん

中田:僕は、人から本を薦められるということがものすごく好きなんです。特に目上の人から本を薦められることが。

 大学生のときに、先輩から「この本、面白いぞ」と薦められたことがありました。しかし読んでみたものの、全く面白くないものもあった(笑)。読めば読むほど、つらくて苦痛。「この本のどこかが面白いのか」「難しいしつまらない」と感じていました。

 先輩から薦められた本の中で、面白いものもあれば、全く面白くないものもあった。それでも先輩から薦められた本だから読むわけで、自分の関心だけでは絶対に手に取らなかった本なわけです。面白くないけど、目上の人に薦めてもらった以上、我慢して読む。

ちきりん:なるほど。でもそれは多くの若者にとっては「馬鹿げた時間の使い方」に見えるかもしれない(笑)。我慢して読んで、得られるものもあるんですか?

中田:結果、「オレには全く面白くなかったけど、この本を『面白い』と感じる人が世の中にいるんだ」「そうした思考回路はオレにはないけど、他人にはあるんだ」といったことが分かること。それが僕にとって、ものすごく勉強になりましたね。もちろん薦められた本の中で、「なるほど」「面白い」というものもたくさんありました。

 なぜ先輩から? といえば、それは単純に言えば無視できないから。目上の方から薦められると、お礼とともに読後感くらい伝えるのがマナーですよね。

 自分の幅を広げるためにどうすればいいのか。僕にとっては、目上の方から本を薦めてもらうことが、ものすごく重要でしたね。

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