この連載は書籍『政治家の殺し方』(幻冬舎)から抜粋、再編集したものです。
前横浜市長の中田宏氏は「女性スキャンダルまみれ」で「ハレンチ市長」と命名された。悩み苦しんで白髪頭となり、死を考えたこともあった。今だからこそ語れる、地方政治のダークな実態とは。
中田宏氏のプロフィール
昭和39(1964)年9月20日生まれ。会社員の父親の転勤に伴い小学生から高校生の間は横浜、福岡、大阪、茅ケ崎、横浜と移り住む。身長184センチ、体重75キロ。趣味は読書とフィットネスジムでのトレーニング。座右の書は「路傍の石」(山本有三)、座右の銘は「先憂後楽」。血液型、性格共にA型。
→【第2回】スキャンダル記事の第一弾は、ありもしない合コン記事
→【第3回】公務をドタキャンして、キャバクラで豪遊? そんな事実はない
→【第6回】怪文書をバラ撒いているのは、誰か――暴力団と役所の関係
2006年3月に横浜市長選に再出馬し、83.68%の得票率で再選された後も、私への情報攻撃は収まらなかった。むしろ激化していったといっていいだろう。私が2期目に入って、さらなる改革を行ったことで抵抗勢力の反撃が強まったのだ。
怪文書を送りつけて偽の噂を流したり、前述のアングラ新聞に載せ、政治・行政の関係者の間に噂を流布させていく。そして、議員の支持者に頼んで、横浜市議会議長宛に「スキャンダル記事は真実か否か、はっきりさせよ」「これは市長個人の名誉ではなく、横浜市の名誉に関わる問題である」「事実ならば辞任に値する」などと書いた請願書を出させる。こうして、ついには議会に取り上げさせるのである。
中身はどうあれ、請願書が上がってきたら、ルール上の対応をせざるを得ない。これを採択するかどうかを議会で審議するわけだ。結果としては却下されることがほとんどだが、それでも審議されるということは、政治の場による正当な議事になってしまう。「採択せず」という結論に達しても、「採択しないことがおかしい」と嘘の中身をタラタラとあげつらい、本会議場で討論をぶちあげる。つまり、うさんくさいでっち上げの噂話が、いつの間にか政争の具として表舞台に飛び出してくるのだ。
こうした巧妙な情報操作を、私は「情報ロンダリング」と呼んでいる。「マネー・ロンダリング」なら、だれでも知っているだろう。犯罪によって得られた資金を、金融機関の架空口座を経由させるなどして、元の出所をわからなくして市場に流通させることをいう。汚い金をきれいな金に見せかけるということだ。
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