じゃあなんであんな大騒ぎに? と首をかしげる人も多いだろう。中国で長くビジネスをしている経営者は、その疑問にこう答える。
「中国の反日感情の強い人々は、常に日本のニュースをチェックして何か問題がないか探している。彼らが騒げば、中国共産党としては正式に抗議をしなくてはならない。抗議をしないと、その不満は自分たちに向けられてしまう。共産党としてはそれが一番怖い」
つまり、中国共産党も南京市もさして気にしていなかったものを、日本のマスコミが「問題」に仕立て上げたという構図だ。発言した背景や文脈を無視し、一部分だけ切り取って大騒ぎする。これまでも多くの政治家を葬り去ってきた“殺人フルコース”を河村たかしも食らってしまったというわけだ。
当初は「発言は撤回しない」と気丈にふるまっていた市長だが、先日インタビューを申し込んだらこんなことを言われた。
「いろんなところから『言わんでくれ』と言われとるから個別インタビューは受けないということにしとる。かんべんしてちょうよ」
珍しく奥歯にもののつまったような弱気な発言に、何があったのかと地元メディアに聞いたところ、市長を黙らせた人々の正体が見えてきた。
「市に寄せられたのは、よくぞ言ったという激励の意見の方が多いのですが、猛烈なクレームもあった。その多くは中国ビジネスをしている企業からです」
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