「空港行き」の電車代、見直さなければいけないどうなる? 鉄道の未来(5)(3/3 ページ)

» 2012年05月26日 00時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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大塚:東京駅の八重洲口と茨城空港はバスで結ばれていて、春秋航空などの茨城発着の航空機を利用する人は大人で片道500円で利用できる。航空機を利用しない人でも1000円で移動できる。こうした価格設定が成功してか、2010年の開港前には無駄な公共事業の典型のように見られがちだった茨城空港は、旅客獲得の面では意外に健闘しているんですよ。

杉山:茨城空港の駐車場がタダなのも大きい。

大塚:初期投資に見合うものが回収できているのか、水戸などへ行くお客さんをどう誘導すればいいのか、といった課題はあります。ただお客を獲得するという意味では、LCCは脅威になりつつある。なので鉄道会社はもっと気を引き締めてほしいですよね。うかうかしていられない……というより、すでに競争は始まっているかもしれません。

2010年3月に開港した茨城空港。旅客ターミナルビルは簡素なつくりで搭乗橋もなく、航空機の利用客はタラップで乗り降りする(撮影:大塚圭一郎)

続く

プロフィール

大塚圭一郎(おおつか・けいいちろう)

 共同通信社編集局経済部記者・携帯電話向けニュースサービス「NEWSmart共同通信」の週刊鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」執筆者。

 1973年4月、東京都生まれ。国立東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒。97年4月に共同通信社に記者職で入社し、松山支局、大阪支社経済部を経て2006年5月から編集局経済部。国土交通省記者クラブキャップを2年間務めるなど運輸業界の取材経験が長く、鉄道関連記事を多く手掛けている。新幹線300系と100系の12年引退を10年5月に、今春の特急「あさぎり」からの371系引退を昨年10月にそれぞれ他社に先駆けて報道した。休日は、父親以上に熱心な鉄道ファンである息子と一緒に鉄道旅行に出掛けることが多い。共著書に『ジャーナリズムのいま』(みずのわ出版)などがある。

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

 1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


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