大阪都構想のカギを握るのは、モノレールかもしれない杉山淳一の時事日想(3/5 ページ)

» 2012年06月22日 08時08分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

当初の計画は堺市まで、用地は確保できている

 大阪モノレールは当初から「大阪府の外周を廻り、大阪空港と堺市の臨海工業地域を結ぶ路線」として計画されていた(関連記事)。大阪も東京と同じく中心部から放射状に鉄道が建設され、次の段階としてそれらの路線を結ぶ横断路線を作ろうとした。大阪府の計画は、モノレールと高速道路を一体的に考えていた。ここがスゴイところだ。

 大阪モノレール本線は大阪府道中央環状線に沿っている。一部区間は高速道路より高いところを通るため、とても景色がいい。鉄道ファンにとっては摂津駅―南摂津駅間の景色が見どころだ。ここは東海道新幹線の鳥飼車両基地とJR貨物の大阪貨物ターミナルを見渡せる。新幹線は、東京側も車両基地と東京貨物ターミナルが隣接している。新幹線に貨物列車を走らせようという構想の名残でもある。

車窓の名所、新幹線鳥飼車両基地と大阪貨物ターミナル

 大阪モノレールは、建設の枠組みとして法的には道路上に建設する「軌道」として扱われる。あんなに高いところを走っているが、路面電車と同じ扱いとは面白い。ちなみに運営会社の大阪高速鉄道の「高速」とは、高速道路沿いではなく「路面電車より高速」という意味である。大阪高速鉄道の建設にあたっては、道路整備の枠組みが用いられた。だから国からの補助も多かった。これが後の黒字経営の基盤になっている。

 地図サイトで航空写真を見れば分かるように、当初の計画だった門真市から堺市までも、すでにモノレール橋脚建設の用地が確保されている。用地買収の面倒な手続きはいらず、あとは建設費の調達と採算性の検討、環境アセスメントという段階である。むしろ、これらの土地を放置し続ければ「無用の調達だったのではないか」と追及されかねない。

高速道路に並行し、見晴らしが良い

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