ユーザーの死に関する対応の現状は、実名性のソーシャルサービスでも同じなのか。残念ながらFacebookは、追悼アカウントの累積件数を非公開としており、ユーザーからの要望といった質問については回答が得られなかった。
ただし、追悼アカウントを実装するいきさつは、スタッフがブログで公開している。それによると、同僚の不慮の事故死が開発のきっかけになったという。ユーザーからの要望といった外部からの力ではなく、内部からの動機で作られた側面が強い。そこはTwitterと共通している。
そして、「内部からの動機」が生まれるケースもまだまれなようだ。複数のソーシャルメディアに投稿したコンテンツを一括で管理できるサービス「Memolane」の日本での展開を手がけるデジタルガレージは、「これは国内外問わずスタートアップ系のサービス全般に言えることだと思いますが、やはり今使っている人のユーザビリティを高めることを優先してしまうところがあります。ただ、後々考えなくてはいけない問題だというのはあり、常に頭の片隅にある。けれども直近の業務に追われている……そういう感覚ですね」と率直に語る。
Memolane自体も現在はユーザーが亡くなった後の規定はまだ設けていない。関連するユーザーからの要望や問い合わせもほぼゼロという。ただし、潜在的なニーズは感じている様子だ。「ITが本当の意味で生活の基盤、ライフラインとなれば、サービスのカラーの影響を受けつつも全体的には自然に死後についての環境も整っていくでしょう。それは10年20年先ではなく、早ければ2〜3年のうちに大きな変化が見えるくらいの話だと思います」
死に関するユーザビリティにおいて先行している海外のソーシャルメディアでも、まだ“潜在的なニーズ”を表に掘り出すには至っていないようだ。それでも2〜3年後にニーズが顕在化するなら、どんなところが起点になるのだろう。次回は「死とインターネット」から、いったん「死とデジタルコンテンツ」まで視点を広げて、ホットスポットを探ってみたい。
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