会社で仕事ができる人は、どんなタイプが多いのか佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(5)(1/4 ページ)

» 2012年09月14日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係:

 少子・高齢化に歯止めがかからない日本市場は、「縮小していくのみ」「よくて横ばい」といった見方が強い。企業は沈みゆく市場から抜け出し、グローバル化の中で新たな“財宝”を手にしようとしている。製造拠点を海外に移転したり、海外との取引を増やしたり、社内公用語を英語にしたり――。

 こうした一連の動きによって、私たちの働き方はどのように変化していくのだろうか。また企業が巨大化すれば、私たちの生活は充実するのだろうか。この問題について、ITやメディア事情に詳しいジャーナリストの佐々木俊尚さんと、アップルのどん底時代と黄金時代を経験した松井博さんが徹底的に語り合った。全9回でお送りする。


高校生でもお金を集められる

松井博氏

佐々木:今のような「会社中心の社会」って、歴史はそんなに長くなくて、戦後からです。戦前は農業や漁業に携わっていた人が多いし、東京に出てきた人は露天商のようなことをしていました。道ばたで饅頭を売ったりとか。戦後はそうした人たちが多かったわけですが、やがて商店街に形を変えていきました。地方では商店街のことを「シャッター通り」と呼ぶところが多いのですが、ネットをうまく使えばやっていけるかもしれない。

松井:ですね。プラットフォームはグローバル企業に作ってもらって、そこに乗っかればいいんですよ。

佐々木:考えてみればFacebookって、“闇市”のような部分もありますから(笑)。

松井::確かに(笑)。

佐々木:Facebook上で商売をして、売買のノウハウをそこでつかんでいけばいいんですよね。

松井:米国の家の近所に住んでいる高校生が、「ケニアドリーム」という運動をしています。これは「ケニアに学校を建てましょう」という運動なのですが、最初のころは資金を集めるために、他人のクルマを洗ったりしていました。そしてクルマを洗い終えたら「ケニアに寄付してください」って言うんですよ。そう言われれば、寄付しないわけにはいかない。

 高校生はそうした活動を続けて、かなりのお金を集めたんですよ。また、その高校生は、デルコンピュータが主催していた面白いアイデアを出せば賞金1000万円のコンテストに応募して、見事に1000万円を手にしました。そして、ケニアに学校を建ててしまった。今では組織がNGOになりました。

佐々木:すごいですね。

松井:本当にすごいんです。さらに、その高校生は「ケニアダンス」というイベントを始めて、その売り上げもケニアに送金しました。もちろんWebサイトで自分たちの活動を紹介していますし、SNSなどもうまく活用しています。高校生でもその気になれば、インフラを利用して数千万円のお金を集めることができるんですよ。

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