円安になって株が高くなったことで、日本人の間にはちょっと安心感が漂っている。企業収益は増加し、経団連の米倉会長も「業績が回復してくればそれは一時金に反映される」と明言した。そうなったら、いよいよデフレからも脱却できるかもしれないが、その傾向をビルトインしていくためには、何といっても、成長戦略が必要だ。
その一丁目一番地は規制改革だと竹中平蔵教授は指摘している。その通りだと思う。そしてそれこそがこの日本を改革していく上で最も困難なハードルになっている。役所、業界団体、労働組合などなど、既得権益に絡む組織は、規制改革には常に反対する。懸案となっているTPPも農業団体は強硬だ。安倍首相は訪米でオバマ大統領から「例外もある」という言質を取りたいようだが、果たしてどうだろうか。
一方で米国は、EUとFTA(自由貿易協定)の交渉に入ることを表明した。これはある意味で日本に対する「包囲網」でもある。かつては米国、EU、日本の3つが世界経済を引っ張ってきた。今はそこに中国が割って入る。そして自由貿易交渉で、日本はいつも農産物がのどに刺さった魚の骨のようになる。その結果、日本で新たに投資する製造業が減っている。もうそろそろ農業の、というより農業団体の呪縛から逃れてもいいころなのかもしれない。それこそが一丁目一番地なのではないだろうか。
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