なぜ内定をもらえない学生が出てくるのか――彼らの行動を分析した仕事をしたら“就活生の動き”が見えてきた(前編)(3/7 ページ)

» 2013年02月20日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

内定を獲得した学生の行動

リク:内定を獲得した学生は、選考が本格化するまでの約4カ月の間に、視野を広げているんですね。多くの企業を調べ、その中から興味の持てる企業を選んでいるので、納得のいく活動になりやすい。また比較して選ぶことになるので、志望動機が明確になりやすいんですね。

 一方、内定をなかなか獲得できない学生は、希望する企業のみにアプローチする傾向がうかがえました。そして落ちたあとに、選択肢がない状態の中で、イチから考え直す。こうした行動はものすごく非効率的で、就活が長引く傾向がうかがえました。なぜなら、その間に企業の採用は進み、ますます内定をもらいにくい状況になるからです。

 内定を獲得できるかどうかの違いは? と聞かれると、いまでは「『行動量』と『活動時期』に大きな違いがある」と言えることができますね。

土肥:でも「広くから選ぶ」とか「行動量を多く」とか言われても、学生は「どのように行動すればいいのか分からない」といった不安を感じるのではないでしょうか。そもそもほとんどの学生は、就活をするのが初めてのことですし。

リク:その通りだと思います。私たちも「多くの学生がどんな企業にどのようにアプローチすればいいのか分からないだろう」という仮説を立てました。そして、“しっくりくる企業”を見つけてもらうために、学生が企業を志望する「軸」を探しました。

土肥:軸? といいますと?

リク:「業種」「勤務地」「年収」など、軸になりそうな観点で分析を始めたのです。

土肥:ほー。例えば「勤務地」ではどのようなことが見えてきたのでしょうか?

リク:北海道と秋田は物理的な距離は近いですが、北海道の企業を選ぶ学生は、秋田よりも沖縄の企業を選ぶケースが多いのですよ。

土肥::へー、それは意外ですね。東京で働きたいと思っている学生は、東京がダメだった場合は神奈川か千葉か埼玉で働きたいと思っている人が多いのではないでしょうか。関西でいうと、大阪がダメだったら、兵庫か京都といった感じで。でも北海道を希望する学生は近くの秋田よりも、北海道から一番遠い沖縄を選ぶ傾向があるのですか。

リク:もちろん、東京や大阪といった大都市のほうが選ばれますが、秋田よりは沖縄でした。

土肥:「業種」ではどんな傾向が見えてきましたか?

内定獲得学生は「まずは広く選び、その後絞る」傾向がある

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