エリートなんかじゃない。AKB48は『がんばれ!ベアーズ』みたいな落ちこぼれ集団AKB48の戦略!(2/2 ページ)

» 2013年03月07日 08時00分 公開
[秋元康, 田原総一朗,Business Media 誠]
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目標に向かって悪戦苦闘していたら、隣の子をいじめているヒマなんかない

book 『AKB48の戦略! 秋元康の仕事術』(アスコム)

田原:なるほど。メンバーたちの話で、1つ聞いておきたい。いま、滋賀県大津市で中2の男の子が飛び降り自殺をした事件をはじめ、いじめが大きな社会問題になっています。僕は驚いたんだけど、AKBには自殺をテーマにした歌があるんですね。

秋元:『軽蔑していた愛情』で、作ったのは2007年です。もちろん当時もいじめが大問題で、僕も娘を持つ父親として見過ごせない思いがあった。2コーラス目に

いじめが“あった”とか“なかった”とか
今更アンケートを取っても
聞いて欲しかった心の声は風の中
届かない

と書いたんです。ミュージック・ビデオも、いじめられた大島優子がビルの屋上に靴を並べて飛び降りるというショッキングな映像です。

田原:そう。ネットでも話題になっている。

秋元:これを僕が作家として小説に書いたり、職業作詞家として曲に詞をつけてもうまく届かないんです。でも、AKBの子たちを見ていたときに、AKBの中でのいじめってどういうことなんだろうと考えると、それは自然と歌詞になる。リアルなんですよ、彼女たちの話を聞いていると。

田原:そこを聞きたい。ふぞろいでダメダメなチームで始めたAKBは、いじめみたいなことはないんですか?

秋元:うーん、今はないと思いますね。

田原:ってことは、前はあった?

秋元:いじめかどうか微妙な、いたずらというか嫌がらせというか、靴隠しみたいなことはあったかもしれません。まだAKBの形が定まらない初めのころは、そこに本当に子どものような幼い女の子がいたわけだから。ところが、だんだん劇場が満員になっていくと、まったくなくなった。いじめという問題は複雑だから簡単に断言はできないけれども、みんなが同じ方向をむいて頑張っていたり、極端にいえば共通の敵がいたりすると、いじめは減っていくでしょう。例えば隣の中学と対立するなんて状況では。

田原:外に敵がいれば。内ゲバをやっているどころじゃないからね。

秋元:夢でも、みんなで達成する目標でもいいんです。

田原:AKBも夢や目標を持ったときから、いじめらしいことは一切なくなった。いまの世の中でいじめが多いのは、共通する夢や目標がないからだ。

秋元:そりゃもう、絶対そうだと思います。みんなで目標に向かって悪戦苦闘していたら、隣の子をいじめてるヒマなんかないんです。(つづく)

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