グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。
※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2013年4月23日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。
皆さんは、「オフィスグリコ」をご存じだろうか。B5サイズ、3段重ねのボックス。中には10種類程度、全24個の菓子が詰められ、上部にはかぱっと口を開いたカエルと、「100円入れてね!」の表示。菓子以外にアイスクリームや飲料の入るタイプもある。
東京、大阪、名古屋など大都市圏の事業所約8万社12万カ所に細かく展開し、年間43億円を稼ぐ。とは言え、単体でも1470億円を売り上げる江崎グリコ全体からみれば、その額面は小さくも思える。1個100円の商品の売上を、12万カ所も巡って回収、賞味期限を守りながら商品補充する手間や管理を考えれば、利益貢献率が高いとも考えにくい。
そして「ぐりこ・や」。ターミナル駅や空港、高速サービスエリアなど15カ所に出店するこの直売店には、同社の人気商品「アーモンドチョコレート」などの製造工程を見せ、出来たてを提供できるキッチン機能を併設(一部店舗)。その他、限定商品の展開などにより耳目を引き、幅広い年齢層を広い商圏から集客している。
とは言え、こちらも運営や商品開発の手間など考えると、さほどの利益を生み出すとは思えない。かと言って規模化すれば希少性を失う。実際、江崎勝久社長もMSN産経ニュースの取材に応え、「単に拡大すればいいというものではない」とコメントしている。
ではなぜ彼らは、これらビジネスを推進しているのか。オフィスグリコに至っては1996年の構想開始以来、すでに15年超が経過している。
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