就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
先日、安くて美味くて気さくという、とてもすてきな居酒屋で食事をしていたときのこと。人気店だけあって店内は大混雑。ギッシリと詰め込まれた席では、向かい合って座っている相手との話は聞き取りにくいのに、隣に座っているグループの話はなぜか聞き取れる、そんな状態でした。
そこでは男子大学生らしき2人が、オーダーした食べ物を前にしても、あまり食べることをしないで(熱々のうちが美味しいものも、ほとんど手つかず)就活の総括をしていました。どうやら2人とも内々定は出ているらしく、今後の学生生活の過ごし方を話しているようでしたが、断片的なフレーズが耳に入ってくるものの、特に興味がわくような話でもありませんでした。
状況が一変したのは、彼らの友人が登場してからのことです。先の2人がどちらか言うと大人しく、遠慮がちに座っていたのに比べて、後から登場した彼は明らかに声が大きく、とても元気で社交的な(言い方を変えればラフな印象でしょうか)感じの若者でした。先の2人に威勢よく挨拶をして、テーブルの上を見ると、大きな声で話し始めました。
「熱いうちにどうして食べないんだよ。えっと、ここはアレも美味いから、それも注文しなきゃダメじゃないか。頼んだの?」おとなしい2人とはまったく違うキャラクターで、その場を制し始めます。「久しぶり〜!」と声を上げて乾杯をし、手つかずだった皿に次々と手を伸ばしていきます。先の2人が、就活が終わったことを話しているうちに、その彼が、私にとっては衝撃的、かつ、とても興味深い発言をしました。
「やりたいことは、ハローワークでは見つからないな、マジで」
この一言が聞こえてきてからというもの、申し訳ないのですが会話をずっと盗み聞きしてまいました(ごめんなさい)。そして、彼らの会話の断片から、就活に至るまでのキャリア教育の難しさを、垣間見たのです。
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