“最高の授業”は世界に届けられるのか? 課題はマネタイズ仕事をしたら“なんちゃってグローバル君”がいた(5)(2/5 ページ)

» 2013年08月07日 08時07分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
農村部での授業。子どもたちに囲まれている

税所:とにかく一流の先生の授業を収録し続け、それをデータベース化する。この活動を3年くらい続けると、かなりのボリュームになる。こんなことをやっているのは、ボクたちだけなので、他のNPOは追随できないのではないでしょうか。

 そうすると、いろいろな可能性が広がってくると思っています。ひょっとしたらその国の政府が、ボクたちがつくったコンテンツを正式に認めてくれるかもしれません。貧しい生徒は予備校に通うお金がありません。でも学校に「e-Education」が導入されていれば、生徒は放課後に学ぶことができる。

 このほか、途上国を支援している世界銀行と一緒に何かできないか。ソーシャルビジネスを支援している企業と一緒に何かできないか。大学と一緒に研究ができないか。そんなことを考えています……が、まだまだ実現していません。

土肥:マネタイズの課題は大きい、と?

税所:きちんとした根拠をもって、「大丈夫です」とは言い切れません。

土肥:「e-Education」のようなことをしている組織ってあるのでしょうか?

税所:米国にあるのですが、そこは米国人だけでコンテンツをつくっています。ボクたちのように現地に足を運んで、そこで一流の先生を見つけて、その授業を収録する――。つまり、足を使って、コンテンツをつくっているところはないと思いますね。

土肥:まだまだ先行き不透明な部分がありますが、同じようなことをやっているところがない、というのがいいですね。このままやり続けるとコンテンツがどんどんたまっていくので、いわば“独走状態”になる。

 ただ、税所さんのやっていることを理解できない人もいるのではないでしょうか。例えば、年配で理解できない人からは「無鉄砲だなあ」と感じているかもしれません。

税所:そういう人たちの力を借りたいと思っているんですよ。「若者だけの力でやれる」という人がいますが、ボクはそう思っていません。年配の人たちと若い人たちが一緒に何かをすることが大切なのではないでしょうか。年配の人には批判だけでなく、ぜひぜひ知恵を貸してほしい。そして、一緒にイノベーションを起こしたいですね。

土肥:なるほど。

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