南場智子さんが語る、意思決定のスピードが大切な理由『不格好経営』の著者が伝えたいこと(後編)(1/4 ページ)

» 2013年10月01日 00時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

『不格好経営』の著者が伝えたいこと:

 「1999年、マッキンゼーのコンサルタントとして調子よくやっていた私は、何かに取り憑かれたように起業し、それまで順風万帆だった多くの人の人生を荒波に巻き込み、四方八方に迷惑をかけながら失敗のフルコースを片っ端から経験して、DeNAを立ち上げた」――。これはDeNAの創業者・南場智子さんの著書『不格好経営―チームDeNAの挑戦』(日本経済新聞出版社)の一文だ。

 DeNAは、携帯電話向けのオークションサイト「モバオク」などを展開。その後もモバイルサービスを中心に業界を牽引することになるが、2011年、南場さんは突然社長を退任した。夫が病に倒れ、「自分の優先順位が社業から家族に切り替わってしまった」。ただ夫の健康状態が変化し、現在は仕事の時間を増やすことにしたという。

 社長を退任してから2年――。現場から離れて何を感じていたのだろうか。今後のことについて、どんなことを考えているのだろうか。最近の心境を語ってもらった。前後編でお送りする。

 →南場智子さんが語る、マッキンゼーの経験が役に立たなかった理由(前編)

 →後編、本記事

※本記事は、9月21日にBBT大学主催で開催された講演会の様子をまとめたものです。

意思決定のスピード

南場智子さん

――社長の仕事で「意思決定」は大切だと思われますか?

南場:そうだと思いますが、私はかなり迷う人なんですよ。例えば、外食しているときにメニューを見て「何食べようかな」と迷う。メニューを3回ほど変更することがありますね。またウエイトレスに注文したあとに気が変わって、厨房まで追いかけていって変更したこともあります。重要なことも重要でないことも、ウジウジ悩むタイプなんですよ。

 ただその性格がそのままビジネスに出てしまうと、組織が混乱してしまう。決めるタイミングなのになかなか決まらないと、組織がストレスを感じてしまうんですよ。例えば、まだ時間に余裕があるときでも「今日のミーティングで決める」というときには、決めなければいけません。なぜか? そうしないと、担当者は「今日決まるのかな?」「いつ決まるのかな?」と待ち構えなければいけません。そして「あ、また決まらなかった……」となると、そこから違う作業をしなければいけない。そうした細かいストレスが、現場にたまっていくんですよ。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.