――開発が完了したはずのその日に、実際はコードが書かれていないことが発覚したことがあったそうですね。
南場:DeNAはマッキンゼーの仲間2人でつくったこともあって、戦略や事業計画などは上手にできたんですよ。システムをつくったことがある人間はいなかったのですが、「開発チームは自ら持つ必要はない。管理さえしていれば、大丈夫。他社に任せよう」という選択をしました。
システム会社からは「うまくできている」という報告を聞いていたのですが、現場に行ってみたかった。ただ当時の私たちは、企画をして、設計をして、そしてつくる――。平行していろいろなことをやっていたので、ものすごく忙しく、全員が1日の睡眠時間が1時間くらいでした。
また開発チームは九州にあって、遠い。現場を見に行かないで、「できている」という言葉を信じました。以前にもそのチームにシステムをつくってもらったことがあるので、完全に信じていたんですよね。ところが、今日が完成日という段階になって、コードが一行も書かれていないどころか、九州にチームが存在していないことが分かりました。
そのとき、このことを肝に銘じました。「システムをつくったことがない人には、管理ができないんだ」ということを。そこからどうやって巻き返すか、ということが大変でした。インターネット上のサービスというのは、ちゃんとできていることも重要ですが、ディテールがユーザーの気持ちをとらえているかどうかが最大の要素だったりする。同じような企画で、同じような画面でも、ちょっとしたまどろっこしさによってユーザーは離れててしまう。
そのディテールは設計書には書けないんですよね。自らがつくらないと、いいクオリティのモノを責任をもって出すことができない。それが最初に分かったこと。私たちの場合は、ディテールの前に全部がなかったので、学びは大きかったですね。
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