終身雇用が崩壊し、安定した生活を求め公務員、専業主婦を目指す人が一定数いる一方、東日本大震災などを経て、働き方や仕事に対する考えを大きく変えた人は多く、実際に働き方を変えた人も増えている。仕事一辺倒から、家族とのかかわり方を見直す人も多くなっている。
さまざまな職場環境に生きる人々を、多数のインタビュー経験を持つ印南敦史が独自の視点からインタビュー。仕事と家族を中心としたそれぞれの言葉のなかから、働くとは、生きるとは何かを、働くことの価値、そして生きる意味を見出す。
この連載『働くこと、生きること』は、2014年にあさ出版より書籍化を予定しています。
株式会社レジェンドプロデュース会長 イキビジ大学主宰。
1978年愛知県生まれ。幼少期に父が半身不随となり、「後悔しない生き方」を模索するようになる。大学卒業後23歳で起業し、現在3社の代表を務める。時間と場所にとらわれないノマドオーナーとして六本木と熱海でデュアルライフを送る一方、自分らしくイキイキ生きたい若者のための勉強会「イキビジ大学」を主宰している。
「小学生のころ母親に、社長になるにはどうしたらいいのか聞いたんです。当時の僕に想像できる範囲では、社長がいちばんトップだったので(笑)。それで『普通に会社に勤めたら、せいぜい課長か部長止まりだよね』って言われたときから、会社員という選択肢はなくなりました。人から指図されるのがとにかく嫌だったし、自分が上じゃないと気がすまない子どもだったんですよ」
穏やかな表情や物腰からは想像できないが、作野裕樹氏は子ども時代についてそう語った。六本木と熱海で、3社を経営する実業家、投資家。起業家育成にも力を入れているが、そのバックグラウンドには、自身のさまざまな人生経験があった。
「小さいころに父親が脳卒中で半身不随になったので、経済的には恵まれていなかったんです。親父は僕が17歳のときに亡くなったんですが、そのとき死生観が身につきましたね。生きてるうちに、一生懸命楽しんで悔いのない人生を送ろうって」
でも、なかなか思うようにはいかなかった。そんななか、独自の価値観を形成するうえで決定的な意味を持ったのは、大学生時代の交通事故経験だった。
「親にクルマを買ってもらえる友だちと違ってお金がなかったから、アルバイトでお金を貯めて、中古車をやっと買ったんです。でも2週間で交通事故に遭って、クルマが大破してしまった。ケガがなかったのが幸いでしたけど、そのとき『コツコツやってたら、いつまでたってもお金の面で恵まれることはないな』と思ったんですよね」
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