安藤美姫はどこへ行く?――韓国フィギュア界もラブコール臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(4/4 ページ)

» 2014年01月23日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]
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中国シンクロチームを強豪に育てた日本人コーチ

 しかし、こうしたケースはスポーツ界で前例がないわけではない。例えば、シンクロナイズドスイミングの名指導者、井村雅代氏だ。

 彼女は日本選手権制覇やミュンヘン五輪出場など輝かしい経歴を生かし、現役引退後に中学教諭を経てコーチへ転身。1978年から日本代表チームのコーチとしてスパルタ指導で名選手を次々に育成し「日本シンクロ界の母」と呼ばれたが、2004年のアテネ五輪終了後に代表コーチを退任した。そして後に選んだ道が、かねてからオファーを受けていた中国代表チームのコーチ就任だったのである。

 ライバル国のコーチに身を転じたことで井村氏は日本国内から「売国奴」などと猛烈なバッシングを浴びながらも中国のシンクロ選手たちの育成にまい進し、2008年の北京、2012年のロンドン五輪でのメダル獲得に大きく貢献した。2013年5月からは英国代表のコーチとして現地で辣腕(らつわん)を振るっている。

 かつて井村氏は「他国の代表チームスタッフとして結果を残せば、日本のコーチの力量も世界で大きく評価されることにつながる」と述べていたが、他国で指導を続ける理由はそれだけではないようだ。

 「井村さんが日本の代表チームから離れたのは、日本水泳連盟のシンクロ委員長との確執が大きな要因。歯に衣着せぬ言動でカタブツな連盟幹部たちからニラまれ、嫌気が差した。そういう意味では、いま水面下で韓国からラブコールを受けている安藤も当時の井村さんと境遇が似ている」(前出のA氏)

 安藤には長らく自分を応援してくれたファンには感謝の念を抱いている半面、日本のフィギュア界には閉塞感を覚えているフシもある。同じような思いで海外に目を向けるスポーツ選手、そしてビジネスパーソンも多いだろう。引退してもミキティの今後には各方面から注目が集まりそうだ。もしかして2013年7月のように、またアッと驚くことを表明するかもしれない。

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