ハイアス&カンパニーの川瀬です。今回は「不動産バブル」についてです。
1カ月前、日経平均株価が1日で500円以上下落するなど、世界の金融市場が混乱しました。原因は米国の金融緩和縮小方針がはっきりしたことで、それまで新興国などの金融市場を支えていた投資マネーが大きく動いたことにあります。日本のアベノミクス景気にも冷や水が浴びせられた格好になりました。
いまや、世界中の資本が瞬時に世界を駆け巡ります。投資マネーは株式市場だけでなく、商品市場や原油などの資源に向かうときもあります。それが不動産に向かうとやっかいなことになります。
「この国の不動産は今が買い!」ということになると、ビルや土地が買われたり、マンションがどんどん建設されたりします。不動産は値上がりすると資産効果が大きいので、みんなが「売却して利益を得て、その資本でまた投資して……」というのを繰り返すと、あっという間に実態価格からかけ離れた額で取引が行われる「バブルの状態」になります。
不動産バブルは、投資家や建設業界が潤って瞬間的には好景気に酔うわけですが、投資マネーが去って「バブル」が終わると悲惨なことになります。
次にマネーが移ったあとに残るのは、建設途中で放置された誰も住まないマンションや実態相場に合わない売れない不動産などです。不動産バブルが他の金融市場のバブルと違うのは、不動産は実需を伴う実物資産であることです。相場を大きくかい離した価格で取引されるようになると、本当にそこに住みたい人が誰も買えなくなってしまいます。
また、銀行は担保割れを起こした不良債権を抱え込むことになり、金融も機能不全を起こし、地域経済に大きなダメージを与えます。
このような不動産バブルは今も世界中の国々で起きています。
<新興国の富裕層、南欧が呼び込み 不動産買えば長期滞在OK 経済再建に活用>
(2014年2月5日付 日本経済新聞)
南欧諸国の間で中国など新興国の富裕層マネーを呼び込む動きが広がっている。不動産投資を条件に長期滞在許可を出し、欧州債務危機で疲弊した経済の立て直しにつなげる狙い。2012年10月に制度を導入したポルトガルで成果が出始めており、スペインやギリシャが続いた。フランスも制度改正の検討に入った。
ポルトガルでは外国人がポルトガルの不動産を50万ユーロ(約6800万円)以上購入すると5年間の居住許可が与えられるそうです。ポルトガル政府によると、2013年にはおよそ3億ユーロが投資されたようで、2014年に入っても前年を上回る勢いで伸びているようです。
同様の制度をスペインやギリシャ、キプロスなども取り入れており、にわかに南欧の不動産価格の値上がり期待が高まっているそうです。
外国のマネーを誘致するために、長期滞在ビザを出す仕組みはほかの欧州諸国にもある。新興国マネーの取り込み競争が拡大する可能性がある。
と記事は結んでいます。
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