リワードの種類によって分かれるクラウドファンディング入門クラウドファンディング(1/2 ページ)

» 2014年04月18日 08時00分 公開
[山本純子,Business Media 誠]

集中連載「入門クラウドファンディング」について

本連載は、山本純子著、書籍『入門クラウドファンディング』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。

本書は国内外の諸事情に通じた気鋭のコンサルタントによるわが国初となる「クラウドファンディング」の本格的な入門書です。

不特定多数の人たちをフォロワーに変え、資金を提供してもらいプロジェクトを実現する仕組み――それがクラウドファンディング。クラウドファンディングが大きな注目を集める“本当の理由”とは? 単なる資金調達の手段を超えてプロジェクトの進め方を大きく変える、新しい“おカネの集め方”です。

キックスターターといった世界最大のプラットフォーム、莫大な資金調達をクリアしたプロジェクト、世界的映画監督が仕掛けたプロジェクトに対するさまざまな議論の応酬など、興味深いエピソードも満載。起業家(予備軍)やベンチャー経営者のみならず、一般企業の経営者必読の1冊です!


 クラウドファンディングはいくつかのタイプに分類することができます。

 最も一般的に行われている分類は、資金提供者の立場から見た場合の資金提供に対するリワード(リターン、特典)の種類によって分ける方法です。

 分類にもいくつかありますが、ここでは2013年度版の「クラウドファンディング業界リポート(The Crowdfunding Industry Report)」(マス・ソリューション社発行)に準じたものを紹介します。下記の5タイプです。

  • 寄付型:資金提供者へのリワードはなし
  • 購入型:資金提供者は金銭以外のリワード(モノ、サービス)を受け取る
  • 株式型:資金提供者は株式を受け取る
  • 融資型:資金提供者は元本と利子を受け取る
  • 投資型:資金提供者は利益のなかから配分を受け取る(※1)
※1=本リポート内では「Royalty-based」となっているが、すでに日本で同じ意味の種類を指し示す言葉として「投資型」が使われているため、こちらを訳にあてた。

 種類ごとの調達実績のデータを見ると、12年は融資型が一番規模が大きく、約11億7000万ドルと市場全体の約43.3%を占めています。次いで、寄付型の約9億8000万ドル(約36.3%)、購入型の約3億8000万ドル(約14.1%)と続きます。株式型はまだ法律上の制限のある国(13年12月の時点では日本もそうです)が多いため、約1億2000万ドル(約4.3%)と割合は低くなっています(※2)。

 こうして見ると、融資型と寄付型がクラウドファンディングの主要なタイプに見えるかもしれませんが、前年11年からの調達額の増加率(※3)を比べると様相が変わります。

※2=投資型に関しては、リポート内では「最近になってできた新しい種類」となっているためデータ内に含まれていない
※3=2011年を基準値とした増加率:計算式=(2012年の調達額−2011年の調達額)÷2011年の調達額

 融資型の110.8%、寄付型の44.9% に対し、購入型は523.3%とこの1年で大きく伸びています(株式型は30.1%)。さらに前年の10年から見た12年の調達額増加率を見ると、融資型269.6%、寄付型112.7%、株式型131.9%に比べ、購入型は2341.4%と、圧倒的に増加していることが分かります。

 同リポートではこの結果を「起業したばかりの会社や中小企業が購入型クラウドファンディングを利用するようになったため」とし、「間違いなく最もメディアの注目を集めているのは購入型である」と紹介しています。

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