さらに同リポートで試算されている13年の種類別予想調達額を見てみましょう。前述のとおり、彼らは市場全体で51億ドルの調達がクラウドファンディング・プラットフォームを通じて行われるとしていますが、各種類別では、
と、予想しています。13年も引き続き購入型の増加が見込まれ、市場全体の調達額割合が寄付型に肉薄しているのが分かります。購入型が成長している理由としては、寄付型とともに多くの国で法的な規制が少ないという点があります。
マス・ソリューション社のリポートでは「寄付型、購入型は法的なハードルがほとんどない場合が多い」と述べています。
下表は国別にどのタイプのクラウドファンディングが法的に認められているかを一覧にしたものですが、「購入型」はここに挙げられているすべての国で可能となっています。
日本でも現時点では、購入型クラウドファンディング・プラットフォームは「リワードを受け取るための権利、引換券を購入する」取引の場として見なされており、通信販売取引などについて定められた特定商取引法に準じて運営されています。金融商品を扱うわけではない気軽さと引き換えに、「寄付型」や「購入型」のようなスタイルは、投資や融資に比べて資金調達額は大きくないと認識されていましたが、購入型においては数年で、これまで述べてきたように1件あたりで多額の資金を調達する事例も出てきています。
(つづく)
山本純子(やまもと・じゅんこ)
株式会社アーツ・マーケティング代表。1997年、慶応義塾大学文学部美学美術史学専攻卒業。
大学在学時よりゲーム業界に携わり、主にオンライン・ゲームのマーケティング、調達、事業開発等に従事。
2009年、慶応義塾大学大学院アート・マネジメント分野修士課程に入学。同年末にITの力で芸術を広めるために(株)アーツ・マーケティングを創業。
2011年、修士課程修了後よりクラウドファンディングの研究を始め、慶応義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、現在、企画・コンサルティング・事業開発、および講演・レクチャー等に取り組む。
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