毎年、新年に米国のラスベガスで開催される世界最大の国際家電展示会CES(Consumer Electronics Show/コンシューマ・エレクトリック・ショウ)。2014年も世界3200以上のメーカーから2万点を越える新製品が出展され、15万人超の来場者を集めるなど活況のうちに幕を閉じた。その規模は年々拡大しており、今年はメイン会場のラスベガス・コンベンションセンターだけでも6つ以上のホールが展開され、4日間の会期中にすべてのブースを回るのは不可能なほどだった。
これまでCESの主役といえば、大型テレビやスマートフォン、タブレットが定番だったが、2014年は“身に付けられる情報端末”が大きな注目を集めていた。
ウェアラブル製品は、2013年の後半以降、各社からさまざまな新製品が登場している。CESの展示ブースでも、メーカー各社がスマートウォッチと呼ばれる腕時計をはじめ、メガネ、腕輪、ネックレス、ペンダントなど、多種多様なデバイスを披露。中でもスマートウォッチは専用コーナーが設けられるほど注目されており、大手メーカーらも自社ブースでアイテムを紹介していた。
スマートウォッチはデジタルウォッチのようなデザインのものが多く、機能もGPSやメールへのアクセス程度と限定的だ。現時点では完成度を高めるというよりも、AppleがiWatchを発表する前に話題づくりをしておきたいという思惑が感じられる。
名の通ったメーカーでは、ソニーがカラー液晶でメールの受信やインスタグラムへの投稿、ランニングの記録管理などに対応するスマートウォッチを複数のカラーバリエーションで展示。カシオはBluetoothでスマートフォンと連携できるG-SHOCKの最新版を大々的に発表していた。
携帯電話やスマートフォンのコア技術を開発するQualcommは、「Toq」を披露。スマートフォンで画面のデザインをカスタマイズしたり、アプリを自在に編集したりといったネットとの親和性の高さと、操作性の良さをアピールしていた。また、クラウドファンディングのKickstarterで巨額の出資金を集めて話題になった「Pebble」は、メルセデス・ベンツのブースで“運転中でもスマートに情報を取得できる端末”という位置付けで展示され、ジャンルを超えた連携が実現する新たな可能性を提示していた。
メガネ型のスマートグラスも驚くほどの数が展示されていた。また、先日開発者向けに限定販売が始まったGoogle Glassをかけた人たちを会場で多く見かけた。プレスルームでもGoogle Glassをかけた記者の姿が目につく。
スマートグラスの多くがGoogle Glassと同様、メガネに取り付けたディスプレイの画像が目の前に画面が浮かんでいるように見えるオーバーレイ方式。動画やメールのメッセージをハンズフリーでチェックできるのがウリだ。
ただし、屋外や明るい場所では画面が見えにくく、メガネと併用できないといった課題も残るなど、まだまだ実用性は低い。コンタクトレンズ型のデバイスも発表されているが、軍用技術をベースとしたもので、一般向けに発売されるまでに時間がかかりそうだ。
一方で新しい形のウェアラブル製品も多数出展していた。アクセサリー感覚の製品も登場し、中でも仏NetatmoのUVセンサー「JUNE」は、宝石のように身に付けられるデバイスとして注目を集めた。独特の形をした「SHINE」(Misfit製)は、シンプルなデザインの活動量センサーで、移動距離や心拍数などを管理できる。腕時計やネックレスのように使えるオプションパーツもセットで発売されている。
こうしたアクティブトレッカー(モニター)と呼ばれるウェアラブルデバイスは、2013年頃からバリエーションが大幅に増え、機能面でもユニークなものが多数登場している。これらの製品については、新たなセンサーの技術やサービスなどと合わせ、後編で詳しくお伝えする。
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