1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
グルグルと膝を回して歌を歌ったり、ダイエットしたお笑い芸人のスッキリとした腰回りにCGの炎がボッと燃えたり、「52歳 『スゴイ!』と妻が」なんて思わせぶりなキャッチコピーがあったり――。健康食品やサプリメントの宣伝文句を「うさん臭せえなあ」と感じる人は多いのではないか。
なかには、わざと怪しくしているんじゃないのと訝(いぶか)しむほどのクオリティもあるが、実はああなってしまうのもしょうがない部分もある。
薬事法のなかに医療品の定義として、「身体の構造、機能に影響を及ぼす」という文言がある。つまり、「機能」をうたった時点でそれは薬。健康食品といいながらも「なにがどうなって健康になる」というプロセスがうたえないのは、これが理由だ。
とはいえ、商売なのでなにかしらのセールストークをしなくてはいけない。そこで「スゴイ!」とか「スッキリ!」という煽(あお)り文句や、膝を回すとかの動作で客をひきつけるという手法が生まれる。「必要は発明の母」というわけだ。
「機能」はうたっていないが、ムードやボディーランゲージでいかに「機能」のニュアンスを伝えるか――。乱暴な言い方をすれば、今の健康食品やサプリメントは「口のうまさ」で勝負が分かれるといってもいい。
ただ、誤解してもらいたくないのは、すべての健康食品やサプリメントが「口のうまさ」だけで売られているわけではない。マジメに成分を研究し、健康に寄与するような商品をつくり、それが顧客から評価されているメーカーももちろんある。
が、どんなにマジメに製品をつくったところで、それがうたえないので、不真面目な企業とさして変わらないように見えてしまっているのだ。
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